DASH食という食事を聞いたことがありますか。
DASH食は健康的な食事のひとつとして知られており、その効果は世界的に研究されています。
DASH食は和食とはまた違ったメリットもあり、日本人が摂っても健康に良いと言われています。
ここではDASH食の概要とそのメリット、またDASH食を摂るポイントを紹介します。
血圧が高いと言われた方はぜひご参考ください。
DASH食とは「高血圧を予防する」メリットがある
DASH食は「高血圧を予防する食事」という食事の概念を指します。
DASHは英語で「Dietary Approaches to Stop Hypertension」を略したもので、「Hypertension(高血圧)を止める食事アプローチと直訳されます。
つまり、血圧を下げる作用のある栄養素をたくさん摂れる食事のことをDASH食と呼んでいます。
血圧は栄養素との関わりが強く、栄養素の中には、血圧を上げる作用をもつものや、反対に血圧を下げる作用のあるものもあります。
血圧を上げる作用のある代表的な栄養素は「ナトリウム」です。
ナトリウムは食塩に多く含まれており、私たちは主に食塩を摂ることでナトリウムを摂取しています。
もっとも、高血圧の原因は多様にありますが、ナトリウムを多く摂りすぎたり、ナトリウムを排出する機能が弱くなったりして、
ナトリウム体内に溜まり血管に影響することで高血圧を引き起こしてしまいます。
よってこのナトリウムを体外に排出することのできる栄養素を食事で摂れば、高血圧を予防することになります。
この食事がDASH食です。
では、実際にDASH食がどのような食事なのか以下に紹介します。
DASH食は「野菜や果物、低脂肪乳製品が多い」食事
DASH食は「野菜や果物、低脂肪乳製品が多い」食事内容で、この食事を摂ることで高血圧を予防する効果があります。
ナトリウムを体外に排出する作用のある栄養素として代表されるものは「カリウム」と「マグネシウム」です。
カリウムは利尿作用があり、排尿とともにナトリウムを排出させます。また、マグネシウムはカリウムの作用を助けると言われ、マグネシウムの不足は高血圧を招いてしまいます。
そのカリウムやマグネシウムは野菜や果物に多く含まれており、
野菜や果物を多く摂ることで、カリウムやマグネシウムの降圧作用から高血圧を予防することができます。
また野菜や果物には食物繊維が多く含まれており、食物繊維を摂ることで高血圧の原因となる肥満を予防する効果があります。
一方で、乳製品に多く含まれる「カルシウム」も血圧に影響する栄養素として知られています。
カルシウムの不足により血管の収縮を引き起こし血圧を上げてしまうため、十分なカルシウムの摂取が高血圧の予防に有効です。
そして、乳製品の中でも低脂肪の牛乳や乳製品を選んで摂ることで、
過剰なエネルギー量や、飽和脂肪酸の摂取を防ぎ、さらにたんぱく質やカルシウムを摂ることができます。
過剰なエネルギー量や飽和脂肪酸の摂取は高血圧の原因となる肥満を助長してしまったり、動脈硬化などの循環器疾患のリスクを高めてしまいますので、余分なエネルギー量や飽和脂肪酸の摂取を抑えることで高血圧の予防に効果があります。
(補足)DASH食 もうひとつのメリット
DASH食は高血圧を抑える効果で世界的に評価されている食事の方法ですが、
もうひとつ日本人向けのメリットとして「DASH食は日本人に不足しがちな栄養素を摂れる」ことが挙げられます。
DASH食は野菜や果物、低脂肪の乳製品を多く摂る食事ですが、
くり返しますが、野菜や果物には「食物繊維」が、乳製品には「カルシウム」が多く含まれます。
この食物繊維とカルシウムは日本人が不足しているとして問題とされている栄養素です。
日本人の食事摂取基準2020という、日本人が各栄養素をどれくらい摂ったら健康に有効かを厚生労働省が示している資料では、男女にかかわらず全ての年代で必要な食物繊維が散れていないことが指摘されています。
また、厚生労働省が日本人が普段取っている栄養素を調査している国民健康・栄養調査でもカルシウムの摂取不足が指摘されています。
この中で、食物繊維の多い野菜や果物、カルシウムの多い乳製品を多く摂るDASH食は、日本人の不足する栄養素も補うことのできる食事と言えます。
普段の食事をDASH食に替えるポイント
では、実際にどのように食事を工夫することでDASH食を摂ることができるのか、普段の食事をDASH食に替えるポイントを紹介します。
(Ⅰ)いつもより多く摂る食品・・・野菜、果物、低脂肪乳製品
まずは、DASH食として推奨されている野菜、果物、低脂肪乳製品を多く摂るようにしましょう。
野菜は1日3食合計で350gを目安に摂るようにしましょう。
果物はカットしたものを片手の上に並べられるくらいの量を1日の目安にします。果物は食べ過ぎると果糖の摂りすぎになり血糖値を高めてしまうので適度な量にしておきましょう。
食べる時のポイントとして、野菜や果物は生のままで食べるようにします。
カリウムは野菜や果物を水にさらすと失われてしまうので、煮たり焼いたりせずに生で食べるとよりカリウムを多く摂ることができます。
また野菜ではないですが、ひじきや海藻類にもカリウムが多く含まれているのでおすすめです。マグネシウムは野菜のほかにも玄米や大豆に多く含まれますので、こちらもおすすめです。
カルシウムは、牛乳や乳製品から摂ります。
普段乳製品を摂らない方は、牛乳1杯から習慣にするだけでカルシウムを摂取ることになります。
牛乳の他にも、ヨーグルトといった乳製品や、野菜の小松菜、ほうれん草にもカルシウムが多く含まれますので合わせて摂るようにしましょう。
(Ⅱ)いつもより少なく摂る食品・・・高脂肪の食品、砂糖の多い食品
身体のエネルギー源として脂質や糖質は不可欠ですが、
エネルギーの過剰摂取による肥満から高血圧を引き起こさないようにするためにも脂の多い食品や砂糖を多く含む食品は摂りすぎないようにします。
食品の例でいうと、
- 高脂肪の食品・・・ベーコンやバター、マーガリン、脂身の多い肉など
- 砂糖の多い食品・・・菓子類、砂糖入りの清涼飲料水など
これらの食品は本当に必要な時のみ適度に摂るようにして、過剰摂取にならないように注意しましょう。
(Ⅲ)置き換える食品・・・乳製品
DASH食は低脂肪乳製品を摂ることが推奨されているように、脂質の摂りすぎを抑える必要があります。
その方法として、同じ乳製品でも、普段摂っている乳製品を低脂肪のものに置き換えることで脂質の摂りすぎを避けることができます。
例えば、普通牛乳を飲んでいるならば低脂肪牛乳に置き換えたり、低脂肪のヨーグルトを食べるようにしたりといったように、
食品パッケージを見て低脂肪のものを選ぶようにしましょう。
また、低脂肪の食品を食べ慣れていないと、低脂肪牛乳やヨーグルトの味があっさりして摂りにくいかもしれません。
食品の置き換えが難しい場合、高脂肪の食品を少なく摂るようにします。
低脂肪の食品でも多く摂りすぎると、結局脂質の摂取量は多くなります。反対に高脂肪の食品でも少なく摂ると、脂質の摂取量も少なくすることができます。
ただ、高脂肪の乳製品を少なく摂る場合は、カルシウムやたんぱく質の摂取量も少なくなるので、できれば低脂肪の乳製品に置き換えて適量を摂ることをおすすめします。
まとめ
○DASH食とは「高血圧を予防する」メリットがある
○DASH食は「野菜や果物、低脂肪乳製品が多い」食事
○DASH食を摂ることで日本人に不足しがちな栄養素を補うことができる
以上、DASH食を紹介しました。
血圧が気になる方はぜひ普段の食事をDASH食にしてみてください。