「高齢の家族が肥満でダイエットした方がいいと思うのですが、高齢者でもダイエットしてもいいでしょうか」
高齢の方にとっても、肥満を改善することは糖尿病や脂質異常症などの病気を予防するのに有効です。
しかし、間違ったやり方でダイエットしてしまうと、低栄養やフレイルなどを引き起こすリスクが高くなってしまいます。
ここでは高齢者ダイエットのポイントと注意点について紹介しています。
健康になるためのダイエットが、かえって健康を害してしまわないように
ダイエットをする際のポイントの注意してみてください。
高齢者がダイエットするときのポイント
①急激な減量を避ける
ダイエットの方法によっては1か月で○kg減量といったものもありますが、
高齢の方は短期間で急激に減量する方法は避けた方がいいです。
短期間で痩せるために、普段やらないような量の運動を急におこなったり、食事の量を減らしてみたりすると、確かに一時的には体重が落ちるかもしれないです。
ですが、体重が減少した要因がエネルギー不足による「筋肉量(骨格筋量)の減少」であれば
高齢の方の場合、フレイル(虚弱)の危険性を高めてしまう恐れがあります。
フレイルについては以下にまとめていますので、ご参考ください。
年齢の増加とともに食事から栄養素を吸収する力が弱くなっていくなかで
ダイエットを目的に急激に体重を減らそうとすると、
食事から必要な栄養が確保できにくくなり、低栄養やフレイルといったような、結果的に健康を害してしまいかねません。
高齢の方にとっても、肥満を改善することは健康維持に有効ですが
急激な減量は控えるようにしましょう。
②習慣的な運動で減量をおこなう
高齢の方のダイエットは、運動で痩せることを基本とし、日々の生活に運動習慣を取り入れて、自分の身体活動量を増やしましょう。
運動することは身体のエネルギーを消費することになるので、
身体活動量の増加によって、身体に蓄積している脂肪をエネルギーとして消費することになり減量につながります。
また、フレイル予防に大切な骨格筋量の維持・増加にもつながります。
つまり、高齢の方のダイエットは「運動をおこない、身体活動量を増やす」ことを意識しましょう。
運動の種類はランニングや強度な筋力トレーニングでなくても、ウォーキングや軽めの筋力トレーニングなどを習慣的におこなうようにしましょう。
まずは運動の強さよりも時間を意識して、運動の習慣づけをおこないます。
1回の運動時間は30分以上を目標に、週3日の運動を目標にしましょう。
慣れてきて運動量が物足りなくなってきたら、
少し速めにウォーキングしたり、運動時間や日数を多くしたりしながらゆっくりと身体活動量を増やしていきます。
急激に運動量を増やさないように気をつけながら、徐々に身体を運動することに慣らしていくように心がけましょう。
③低栄養、フレイルを予防するため十分な食事を摂る
高齢の方がダイエットをするときには、食事量を減らすダイエットは避けましょう。
食事を減らしてしまうと、特に高齢の方の場合は、減量によるメリットよりも、低栄養のリスクが高まってしまうデメリットが大きくなってしまいかねません。
高齢の方のダイエットは運動を基本としているので、
運動をすることで身体の脂肪をエネルギーとして消費し、減量につなげます。
なので、食事は十分に摂り、必要な栄養を確保して骨格筋量を維持することで、低栄養やフレイルを予防するようにしましょう。
食事の内容は「フレイル予防」を意識した食事を摂ることをおすすめします。
フレイル予防のための食事は、十分なエネルギーとたんぱく質の確保を基本としているので、ダイエットする場合の健康維持にも向いている食事の内容です。
具体的なフレイル予防のための食事は以下にまとめていますので、ご参考ください。
あくまでも食事から必要な栄養をしっかりと摂って低栄養やフレイルにならないように気をつけましょう。
④無理をしない
健康維持を目的にダイエットするならば
必ず無理をしないようにしてください。
無理をしないということは、ダイエットせずに肥満のままでもいいというのではなく、
自分の身体に合ったペースで、ゆっくりと身体を慣らしながらダイエットをするということです。
繰り返しますが高齢の方にとっても肥満の改善は健康維持にとても有効です。
なので、肥満を改善し健康を維持できるダイエットになるように、
ダイエットによってかえって体調を悪化させないようにする必要があります。
食事を十分とることは、運動により免疫能が低下することを、栄養を摂ることで補うことにもなるので、体調を維持するのにも大切です。
運動を基本に食事から必要な栄養を確保するダイエットを意識しましょう。
管理栄養士は「高齢者の痩せ」の予防に取り組んでいる
高齢の方にも体重を減らす目的で管理栄養士が栄養管理する事は多くあります。
例えば糖尿病で肥満気味の方は、血糖コントロールをよくするために体重を減らすように指導します。
しかし、その場合は、短期間で急激に痩せすぎないように、ゆっくりと減量するような食事量や生活習慣の提示をします。
また、厚生労働省が発表している食事摂取基準2020年版では、高齢者のフレイル予防を明記しており
管理栄養士は、このフレイル予防に重点を置いた取り組みを各地でおこなっています。
このように、管理栄養士としてはダイエットによってフレイルのリスクがあがらないように栄養管理することに力を入れており、
ダイエットをすることでかえって健康を害してしまい、予後が悪くならないように、長期的にゆっくりとダイエットすることをすすめています。
健康を維持しながらすすめるダイエットの方法
以下のページでは自分に負担がかかりにくい方法で無理なくダイエットするやり方を紹介しています。
自分にあった体重を基にしたダイエット目標に設定し、体重の変動をみながら食事の量を調整するやり方なのでダイエット後の健康維持にも役立つと思います。
ぜひご参考ください。
まとめ
○急激なダイエットは避ける
○習慣的な運動をおこないながら、必要な栄養を摂れるように食事もしっかり摂る
○無理なく慣らしながらダイエットする
以上、「高齢者ダイエットのポイントと注意点」について紹介しました。
高齢の方のダイエットが、低栄養やフレイルの起点にならないように、
運動を基本に食事から必要な栄養を確保するよう心がけてください。