「栄養補助食品を使いたいけれど、なにを食べたらいいかわからない」
栄養補助食品は種類がたくさんありながら、それぞれ商品の特徴があるので何を摂ればいいか悩むと思います。
ここでは介護現場の現役管理栄養士から、高齢の方の低栄養を早めに予防することを目的に1食分の栄養補助食品メニューを紹介します。
初めての方は、まずこちらのメニューから始めていただき、味などの好みをみながら他の商品を選んでみてください。
<このメニューの対象>
○今までより食べる量が3割(およそ1食分)少なくなった方
○一度にたくさん食べることができない方
治療のために病院で医師から食事の指示があったり、管理栄養士から栄養指導を受けたりしている方は、一度確認していただいてから使用するようにしてください。
栄養補助食品 1食分メニュー
栄養補助食品は食事が摂れないときの補助なのでもちろん、味のおいしさ、手軽さ、飽きにくさ、食感などをみて選んでいます。
また、誤嚥リスクを考慮し、誤嚥が気になる方にも食べていただけるものを紹介します。
おすすめするメニューはこちらです。
「エネルギー・たんぱく質補給」のおかず・・・クリニコ 和風だし香る茶碗蒸し
「エネルギー・たんぱく質補給」のゼリー・・・明治 メイバランス ソフトJelly
「ビタミン・ミネラル補給」の飲み物・・・ニュートリー ブイ・クレスCP10
管理栄養士のなかではわりと定番ながら、ご家庭でも手に入りやすいものを選んでいます。
では、ひとつずつ紹介していきます。
①和風だし香る茶碗蒸し (株)クリニコ
この栄養補助食品は80gという少量ながら、エネルギーを100kcal、たんぱく質を5.0g摂ることができる少量高カロリー食品です。
エネルギーをたくさん摂るための栄養補助食品といえば、ゼリーやジュースといった甘いものを想像される方もいると思いますが、
これは茶碗蒸しをベースにしているのでおかず感覚で食べることができます。
味は栄養補助食品独特の薬っぽい風味がなく、容器ごと温めて食べることができるので、料理に取り入れてもおいしく食べられます。
そして食品の固さ、滑らかさが適度で、誤嚥が気になる方も食べることができます。
まずはおかずとしてこの栄養補助食品をおすすめします。
②メイバランス ソフトJelly (株)明治
この栄養補助食品の特徴は、ヨーグルトのようなやわらかい食感で、誤嚥の気になる方にも食べられるうえに、1個でエネルギーを200kcal摂れるとともに、たんぱく質を7.5gも摂ることができ、栄養補助食品のなかでもたんぱく質補給に優秀な食品です。
ただ、たんぱく質が多い商品は、一般的にプロテインの粉っぽい味がするのですが、メイバランス ソフトJellyはヨーグルトをベースにいろいろなフレーバーが合わせてあるので、食べてもほとんどたんぱく質が気になりません。
また、この食品には食物繊維、ビタミン、ミネラルも摂ることができるので、あれやこれやたくさん食べる必要がなくなります。
パウチタイプなのでそのまま食べることもできますし、お皿に出してヨーグルトのように果物とあわせて食べることもできるので手軽さもあります。
おかずの次は、この栄養補助食品をおすすめします。
③ブイ・クレスCP10 ニュートリー(株)
ブイ・クレスCP10が私の中でいちばんおすすめです。
ブイ・クレスCP10は「栄養補助食品だけでは補えないビタミン・ミネラルを網羅的に補給することができる」「高齢者が気になる低栄養予防に特化している」という2つの特徴があります。
栄養補助食品に頼ってしまうと、栄養バランスの整った食事を食べていたら気にする必要はなかった、ビタミン・ミネラルが不足してしまうことがあります。
なので、栄養補助食品を使う場合はビタミン・ミネラルを摂れる食品をひとつ取り入れましょう。
ただ、ビタミンやミネラルは独特の苦さや薬っぽい風味があり、毎日飲むにはきついものもあります。
その点でブイ・クレスCP10はビタミン・ミネラルをまとめて摂ることができながら、味が上品なフルーツ味なので、独特な風味がなく本当においしいです。
また、ブイ・クレスCP10には「コラーゲン・ペプチド」というたんぱく質が含まれています。
褥瘡(床ずれ)、スキンテア(皮膚裂傷)という低栄養が原因のひとつとされる高齢者におこりやすい症状があるのですが、コラーゲン・ペプチドに有効な効果があることが報告されています。
ブイ・クレスCP10は臨床現場や介護現場でも取り入れられているので、栄養学的な効果も期待できる点でおすすめです。
おかずやゼリーにプラスして必ずといっていいほど使用していただきたい食品です。
ジュースタイプはこちら。
ゼリータイプもあります。
栄養補助食品を摂るタイミング
このメニューの対象者は食事が少し摂れなくなっている状態を想定していますので、このメニューは1食としてまとめて摂ってもいいですし、朝食にプラスしてメイバランス ソフトJelly、間食にブイ・クレスCP10、夕食にプラスして和風だし香る茶碗蒸しを摂るといったように、他の食事の時に追加する摂り方でも大丈夫です。
また、食事が食べられるようになったら、栄養補助食品を中止していきましょう。
栄養補助食品はあくまでも補助なので、食事の代わりに食べないといけないものではありません。
まずは今回紹介した食品から始めてみて、自分の食事量をみながら調整していただけたらと思います。
以上、「介護現場の管理栄養士がすすめる栄養補助食品 1食分メニュー」を紹介しました。
栄養補助食品を選ぶ基準となるものを選んでいるので、初めての方や何を摂ったらいいか悩んでいる方はこのメニューから試してみていただくことをおすすめします。