「離乳食を始めるのが心配」
「離乳食を始めるときに気をつけておいた方がいいことはなんですか」
離乳食は赤ちゃんにとって食べることを体験し、自立に向けた一歩を踏み出すときです。子育てをする親にとって不安を感じるかもしれないですが、不安があって当然です。
ここでは離乳食を始める前に知っておいてほしいことをまとめています。少しでも不安を取り除くことができたら幸いです。
この記事は厚生労働省の発表する「授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月)」を基に作成しています。
離乳食を始める前に知っておいてほしいこと
①「離乳食の進み具合は他人と比べる必要はない」
離乳食を始めることは、赤ちゃんにとってはもちろん、親にとってもたくさんの経験をします。
少し硬い話になりますが、授乳・離乳の支援ガイド(厚生労働省)では以下のように離乳食を説明しています。
離乳とは、成長に伴い、母乳又は育児用ミルク等の乳汁だけでは不足してくるエネルギーや栄養素を補完するために、乳汁から幼児食に移行する過程12をいい、その時に与えられる食事を離乳食13という。
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf p.29
まとめると、
赤ちゃんが成長していく中で、授乳では足りなくなる栄養を食事で補う
という栄養補給の目的があります。
また、離乳食には赤ちゃんにとってもうひとつ重要な目的があります。
それは、
赤ちゃんが食べることの楽しさを体感し、食行動を学ぶ
という赤ちゃんの自立に向けた一歩を支援する目的です。
重要なことは、赤ちゃんはひとりひとり個性があるので、他人と同じように進まなくて当たり前であることを知っておくことです。
離乳食は赤ちゃんの食べる意欲や発育など様子をみながら進めてかまいません。
子育ての参考書やこの記事のような目安はあくまで基本として知っておき、その基本から赤ちゃんに合わせて離乳食を進めていきましょう。
目安よりも進みが遅くても、子育てが間違っていたのかなと自分を責める必要は全くありませんよ。
②「ハチミツは1歳を超えるまで与えてはいけない」(要注意)
離乳食では赤ちゃんにいろいろな食品を知ってもらうことが重要ですが、
ハチミツは、1歳を超えるまで決して与えないでください。
ハチミツは乳児ボツリヌス症という病気を引き起こす恐れのある、
1歳未満の赤ちゃんにとって危険な食品です。
乳児ボツリヌス症は命に危険を及ぼすほど危ない病気です。
1歳未満の赤ちゃんがハチミツを食べる栄養価値はありません。また、ハチミツを熱しても、その危険性は変わりません。
絶対に与えないようにしてください。
乳児ボツリヌス症は、食品中にボツリヌス毒素が存在して起こる従来のボツリヌス食中毒とは異なり、1歳未満の乳児が、芽胞として存在しているボツリヌス菌を摂取し、当該芽胞が消化管内で発芽、増殖し、産生された毒素により発症するもの。
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf p.45
③「食物アレルギーの概要と、留意すべきこと」
食物アレルギーとは、食べたものが原因でアレルギー反応(発赤、かゆみなど)が生じることで、重篤な場合はアナフィラキシーという嘔吐や腹痛、呼吸ができなくなるなどの症状から、命を落とすこともあります。
赤ちゃんの離乳食を始めるにあたり、食物アレルギーを気にする方は多いと思いますし当然です。
ですが、実際食物アレルギーを発症しないように離乳食を遅らせても効果がないと言われています。
離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせ ても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はない
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf p.33
ですので、生後5~6ヶ月あたりから、赤ちゃんの様子にあわせて離乳食を始めて大丈夫です。
離乳食を始めるにあたり、
- 赤ちゃんの様子を食べた後もよく観察する
- アレルギーと思われる症状がみられたら、迷わず病院に行く
- 自己判断しない
以上を留意しておきましょう。
アレルギーの症状は以下を参考にして下さい。
- 泣き止まない
- せきやくしゃみをする
- 嘔吐や下痢がある、血の混じった便が出る
- 皮膚にぶつぶつ(蕁麻疹)がでる
- 皮膚や目、鼻、口が赤い
- 呼吸をすると音がする
- 元気がない、活気がない
- ぐったりしている
- 反応がない、意識がない
気になることがあれば医療機関に相談することが一番です。
④ベビーフード(製品)の活用について
ベビーフードは、月齢をみながらお子様にあったものを活用しましょう。
特にベビーフードは調理の固さの目安となるので参考にして下さい。
ベビーフードを使用するときは以下に注意しましょう。
- 加熱した後の温度を確認する
- 保存方法、使用期間を守り、開封後は速やかに使用する
自分が熱くないと感じても、内側が熱くやけどする恐れもあります。赤ちゃんにあわせて温度を調整してください。
また、乳児は免疫の機能も未熟です。必ず保存方法や使用期間を守り、適切に使いましょう。そして、開封後は取り置きや冷凍保存は控え速やかに使用しましょう。
⑤管理栄養士が伝えたいこと
離乳食を始めようと思っている方へ
わからないことや不安なことがたくさんあると思います。赤ちゃんの成長はひとりひとり違っており、お友達がああだからこうだからといって、気にしないようにしても、ついわが子と比べてしまいます。
離乳食も同じで他の子と比べて自分の子どもは進みが遅いと思うかもしれません。自分の子どもだけアレルギーがあって不安に思うかもしれないです。
でも、決してひとりで抱える必要はありません。
私たち管理栄養士は、そのような不安な気持ちを受け入れ、あなたにあった方法をアドバイスする準備ができています。
どんなことでもかまいません。
お子様の健康診断の際に、病院の医師や管理栄養士に相談してください。近いうちに病院に行く予定がなければ、あなたの住む市町村に連絡してください。子育てを担当するプロがアドバイスします。
または、当サイトの「お問い合わせ」にあるメールアドレスから私に連絡してもかまいません。
メールになりますが何度でも無料でお答えしますし、もちろん匿名で相談していただいてかまいません。
私も子育てを経験しています。子育ての不安な気持ちを何度も感じました。管理栄養士からの願いは、食事であなたと赤ちゃんとの関係が深く愛情のあるものになってほしいことです。
決してひとりで悩まず、気軽に管理栄養士を頼ってください。
まとめ
○離乳食は他人と比べずに赤ちゃんにあったペースで進めて大丈夫。
○ハチミツは決して1歳になるまで与えない。
○不安なことは何でも医師や管理栄養士に相談する。
以上、「離乳食を始める前に知っておいてほしいこと」を紹介しました。
繰り返しますが、ひとりで悩まずに
なんでもいいので医師や管理栄養士に相談してください。
参考文献
厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイド 2019年3月
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf