「糖尿病の治療のためにどんな食事を摂ったらいいか知りたい」
「血糖値を上げないように食事は何に気をつけたらいい?」
血糖値を良好に保つには、自分に合った食事を摂りながら、生活習慣を整えることが重要です。
食事に気をつけておかないと、血糖値のコントロールができなくなることで糖尿病の症状が悪化し、
例えば糖尿病性腎症という、糖尿病が起因となって腎臓の機能が悪くなる合併症などを引き起こす恐れがでます。
ただ、実際糖尿病のための食事は何かを制限するといった極端なものではなく、食事全体のバランスを整えた健康的なものです。
ですので「糖尿病食は健康食」と言われています。
ここでは一般の方向けに2型糖尿病のための食事の考え方を紹介します。
日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2019を参照しています。
一般の方向け 2型糖尿病のための食事の考え方
(要確認)既に病院で栄養指導を受けている方は担当の管理栄養士に従ってください
あなたがもしも既に病院で治療のために栄養指導を受けている場合、必ず担当の管理栄養士の指示に従ってください。
治療に対する食事は、あなたの年齢や体重などの一般的な食事量を決める指標だけでなく、
今の病状、血糖コントロール状況などの治療経過に関することや、服薬状況、ほかの病気との関わり、さらに食事環境や生活背景など様々な観点からあなたに最適な食事療法をおこなっています。
ですので、この記事をあくまでも「一般的なもの」として捉え、
これを基に担当の管理栄養士が提示された食事療法の内容が、自分用にどのように展開されているかを見ていただくとより食事療法に取り組みやすくなると思います。
考え方① 目標の体重に合わせた食事の量(エネルギー量)を摂る
糖尿病のための食事は、血糖値のコントロールが不良にならないようにすることを目標とします。
そのために、「肥満の予防・改善」を目標としましょう。
肥満はインスリンという血糖値を下げる働きをもつホルモンの作用を妨げる(インスリン抵抗性)原因となります。
まずは自分に合った食事の量を守って食事を摂りましょう。
自分にあった食事の量は主治医、担当の管理栄養士に確認するのが一番いいです(要確認に詳細)。
ここでも糖尿病のための食事量の決め方を載せておきますが、
あくまでも一般的な決め方なので、最も自分にあった量を知るためには、主治医、管理栄養士に確認しましょう。
○2型糖尿病治療のための食事量(総エネルギー摂取量)の決め方
食事量はあなたに適する体重(目標体重)を基準に、あなたの年齢や今の病態、運動量、生活背景などを総合的にみながら決定します。
食事量の目安は以下の式で算出します。
食事量(総エネルギー摂取量)kcal/日 = 目標体重 kg × 身体活動に合わせたエネルギー係数 kcal/kg
食事量は、自分に適切な体重をベースに、自分の身体活動に合わせて食事量を調整する決め方です。
ベースとなる目標体重は以下の計算で決めます。
身長(m)× 身長(m)× 22
高齢の方は「22~25」から、状態に合わせて決めます。
身体活動に合わせたエネルギー係数は以下から選択します。
- 普段座っていることが中心・・・25~30
- 仕事や家事などで軽く身体を動かす・・・30~35
- 力仕事やトレーニングをする・・・35~
見てもらうとわかるようにかなり数字に幅があります。なので、
あまり運動しない・肥満を改善するならば「28」、強度な運動を習慣的にする・やせを予防するならば「30」を目安に始めるといいです。
考え方② (合併症がなければ)たんぱく質は控える必要はない
糖尿病の合併症のひとつである糖尿病性腎症を患っている方は、たんぱく質の摂取量に制限がかかりますが、
腎臓の機能に異常がなければ、たんぱく質は通常通り摂っても大丈夫です。
むしろ、栄養バランスの整った食事を摂るには主菜からたんぱく質を摂ることが必要です。
高齢の方はフレイルを予防するために十分なたんぱく質を摂りましょう。
目安となるたんぱく質の摂取量は以下のページで紹介していますので一度ご確認いただけたらと思います。
ただ、たんぱく質に限ったことではないですが、摂りすぎはよくないです。
たんぱく質の過剰な摂取は動脈硬化のリスクを高める恐れがあるので控えておきましょう。
考え方③ 炭水化物、脂質は適量を摂る
炭水化物の極端な制限により血糖値が下がるという見方もありますが、現段階では確実な結論は出ていないので、積極的な制限は勧められていません。
ただ、炭水化物を減らすことで食事全体から摂取するエネルギーの量が減ることで、血糖値が改善される報告もあります。
なので、少なくとも以下のことは気をつけましょう
お菓子などの甘いものやせんべいといった間食を控えること
続けられる範囲でご飯の量を少し減らす
実際のところ、炭水化物の適量は服薬状況や血糖コントロール状況などを踏まえ個別に決定するので、特にご飯の量は主治医や管理栄養士に確認するのが一番です。
脂質は動物性の脂質の摂りすぎは糖尿病のリスクを高めますが、
普段の食事から、魚油などに多く含まれる多価不飽和脂肪酸を摂ることで、相対的に飽和脂肪酸の摂取量が減ることで糖尿病リスクを低減することが言われています。
ひとつの食品に偏らず、いろいろな食品を食べることで、摂る脂質の種類も偏りを防ぐことができます。
食べる食品の種類を増やすことを心がけましょう。
考え方④ しっかり摂るべきもの、控えるべきもの
しっかり摂るべきもの「食物繊維」
糖尿病のための食事では食物繊維をしっかり食べるようすすめています。
食物繊維は糖の吸収を遅らせ、血糖値の上昇をなだらかにする効果があります。
血糖値の上昇をなだらかにするのは糖尿病の血糖コントロールにとって非常に重要です。
糖尿病を悪化させないためには、インスリンの過度な分泌を避ける必要があり、そのためは過剰に血糖値が上がらないように食事を摂ることが大切です。
食事から摂る糖が穏やかに吸収されると、インスリンをエンジンを蒸すように過剰に分泌しなくていいので、
食物繊維を食事のはじめに摂って食事による血糖値の上昇をなだらかにしましょう。
食物繊維は1日20g以上が推奨されており、野菜なら1日350g以上を目標に摂りましょう。
ただし、野菜でもむやみに摂ればいいというわけではなく、摂るときに注意していただきたいことがあります。詳細を以下にまとめているので合わせてご参考いただけたら幸いです。
控えるべきもの「ショ糖」、「食塩」
ショ糖はいわゆる砂糖です。
特に糖尿病の方はお菓子など間食として摂りすぎるのは控えましょう。
また、清涼飲料水などに含まれるショ糖は味で感じるよりも多くの量が含まれていることがあるのでジュース類も控えたほうがいいです。
食塩は糖尿病の合併症予防や高血圧を防ぐために、
男性なら1日7.5g未満、女性なら1日7.0g未満にするのが好ましいです。
特に調味料として摂る量を気をつけましょう。
調味料を少なくすると食事がおいしくなくなると思われる方もいるかもしれないです。ですが、減塩は方法を工夫すると食じくぉ楽しみながら食塩を減らすこともできます。おすすめの減塩のやり方を以下にまとめていますのでぜひご参考ください。
まとめ
○目標体重の維持を目標に適切な食事量を守る
○合併症がなければたんぱく質は制限しなくていい
○炭水化物、脂質は適量を、野菜はしっかり食べる
○ショ糖、食塩は控える
以上、「一般の方向け 2型糖尿病のための食事の考え方」について紹介しました。
繰り返しますが、ここで紹介してのは糖尿病のための食事の基本型です。
まずはここの内容を知っておいて、
実際に自分の食事がどのように展開されるかを、主治医や管理栄養士から聞くとより実践しやすいと思います。