「カルシウムと合わせて摂った方がいいものはありますか」
「カルシウムの吸収をよくするには、どの栄養素を摂った方がいいですか」
カルシウムは身体の骨の主な成分であり、骨量を高め骨粗鬆症やひいては骨折を予防するために欠かせない栄養素です。
カルシウムには腸からの吸収を促進する栄養素や、吸収したカルシウムを骨に取り組む役割をもつ栄養素があり、
カルシウムと合わせて習慣的に摂ってほしいものがあります。
反対に腸からの吸収を阻害したり、体内のカルシウムを尿として外に出してしまったりとカルシウムの摂取に良くない影響を与えるものもあります。
これらを過剰に摂ってしまうことで、せっかく摂ったカルシウムが吸収されなかったり、身体からカルシウムが出ていったりしたらもったいないですので、ぜひチェックしてみてください。
ここではカルシウムと合わせて摂ってほしい栄養素と、過剰に摂らないようにしてほしい栄養素を紹介します。
カルシウム吸収のために摂るべき栄養素
吸収を促す栄養素「ビタミンD」
ビタミンDは脂溶性ビタミンと言われる栄養素のひとつです。
カルシウムは腸で吸収される過程でビタミンDによって調整を受けています。
ビタミンDが少ないと、調整役がいなくなるのでカルシウムを吸収するのが効率悪くなってしまいます。
また、血中のカルシウム濃度を調整しているのもビタミンDです(血中カルシウム濃度と腸でのカルシウム吸収はリンクしているのですが、詳細は別のところで解説します)。
つまり、ビタミンDはカルシウムの量を調整し、カルシウムが身体に有効に働くようにするためにとても重要な栄養素と言えます。
カルシウムを摂るように心がけている方は、ぜひビタミンDの摂取も習慣にして下さい。
同じ量のカルシウムを摂るにも、効率よく身体に吸収される方がいいですよね。
ではどんな食品を摂ったらいいのか、ビタミンDのおすすめ食品は以下で紹介していますのでご参考にしてください。
(補足①)吸収したカルシウムを骨に取り込む「ビタミンK」
カルシウムと合わせて摂るおすすめの栄養素としてビタミンKを紹介します。
ビタミンKは吸収したカルシウムを骨に取り込む際に活躍する栄養素です。
骨の状態を保つためにはビタミンKを適度に摂取しておきましょう。
ただ、ビタミンKは食事から摂るものに加え、腸内細菌で作られてものも吸収しているので
まず欠乏することはないです。
ビタミンKを含む食品を適度に摂れば過剰に意識する必要はありません。
ビタミンKのおすすめ食品はこちらより。
(補足②)その他の栄養素は気にしなくて大丈夫な理由
マグネシウムやビタミンB6などもカルシウムの吸収を促進することが報告されています。
ただこれらの栄養素はそこまで気にしなくて大丈夫です。
骨粗鬆症予防と治療のガイドライン2015年版でもビタミンDやビタミンKの摂取を推奨していますが、
その他の栄養素のついては食事で摂取できるとされ、優先的に摂ることについては特記されていません。
骨粗鬆症の予防や治療としてバランスの良い食事が重要であると明記されており、
バランスの良い食事を摂っていると、結果的にマグネシウム等を摂取できていることが多いので、マグネシウム等はあまり気にしなくていいと思います。
骨の健康を維持するためには「バランスの良い食事」を基本に、「カルシウム」、「ビタミンD」、「ビタミンK」を意識して摂るようにしましょう。
カルシウム吸収のために避けるべき栄養素
「リン」
問題はリンです。
その理由は「リンはどんな食品にも含まれており、意識して過剰に摂らないようにしないといけない栄養素」であるためです。
リンは本来、エネルギー代謝の重要な役割を担うだけでなく、細胞の酸塩基平衡を保ったり浸透圧を調整したり、骨の成分となったりなど身体にとって必要不可欠な栄養素です。
繰り返しますがどんな食品にもリンが含まれていると言っても過言でないので、
食事を普通に食べていたら(栄養バランスを気にしていなくても)欠乏することはないです。
むしろ摂りすぎて過剰となりやすいので注意が必要です。
「どんな食品にもリンが入っているなら、リンを摂らないようにするには、食事自体を摂らないようにするのか」
そうではないので安心してください。
リンの過剰に摂らないようにするには「食品添加物を摂りすぎないようにする」ことです。
詳しくはリンを解説しているページで述べますが、
リンは加工食品やインスタント食品などの食品添加物に使われていることが多いので、
加工食品やインスタント食品を日常的に食べている方は「食事+食品添加物」分のリンを過剰に摂ってしまっています。
加工食品やインスタント食品のすべてを否定するわけではありませんが(管理栄養士も普通に食べていますので)、
リンの過剰摂取を避けるためにあくまで便利なものとして時々使う程度をすすめます。
(補足③)「カフェイン」、「アルコール」、「食塩」も注意
カルシウムの吸収を妨げる「リン」や、カルシウムの尿から排出する量を増やしてしまう「カフェイン」、「アルコール」、「食塩」は避けるべき栄養素です。
カフェインはコーヒーなど、アルコールはお酒など、食塩は調味料などに含まれます。馴染みのあるものなので想像しやすいと思います。
カルシウムは尿を通じて体外に排出しますが、カフェインなどは尿中のカルシウム量を増加させてしまうので、
摂取したカルシウムを体外に出してしまうことになります。
ただ、カフェインもアルコールも過剰な摂取はカルシウムに影響を与えますが、嗜む程度でしたら問題ないでしょう。
食塩も食事摂取基準である男性7.5g/日、女性7.0g/日に沿って摂っていれば大丈夫です。
まとめ
- カルシウムの吸収アップには「ビタミンD」を摂りましょう
- 合わせて「ビタミンK」も摂るとより骨にカルシウムを取り込んでくれます
- それ以外の栄養素は気にせず、「バランスの良い食事」を重視しましょう
- 特に「リン」は過剰に摂りすぎないように注意しましょう
以上、カルシウムの吸収アップのために摂るべき栄養素と避けるべき栄養素について紹介しました。
将来骨粗鬆症を予防するためにカルシウム摂取と合わせて摂っておくと吸収の効率がよくなりますので、ぜひご参考にしてください。