12 わが国の医療保険制度に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1 つ選べ。
(1) 保険給付の対象となる者を、保険者という。
(2) 被用者保険の対象には、自営業者が含まれる。
(3) 医療機関受診の際には、現物給付が原則である。
(4) 正常な分娩に対して、適用される。
(5) 75 歳以上の者は、保険料を支払う必要がない。
正解 (3)
解説
医療保険制度に関する問題です。内容は医療保険に関する事項の確認問題ですが、”保険者”や”現物支給”、”被用者”といった用語を理解しておくとより解きやすくなります。
医療保険についてはあなたが風邪に罹り病院で診察を受けるシーンを思い浮かべると整理しやすいです。病院に行き受付で健康保険証を提示しますが、その健康保険証はあなたが医療保険制度の「被保険者」であるという証明書です。
ここで「被保険者」とは、この例で言えば医療サービスを受けられる者のことです。つまりあなたが病院に行き診察という医療サービスを受けると、「”診察という現物給付”を受けた」ということになります。さらに医療サービス費を自己負担3割相当額で受けられます。
このように国民が医療サービスを必要としたときに医療サービスを受けやすくするのが国民皆保険の特徴で、国民は「保険者」に保険料を支払い、「保険者」は「被保険者」に医療サービスに関する給付を行うのが医療保険制度です。
(1) 正:保険給付の対象となる者を、被保険者という。
上記で解説した通り、保険の給付を行うのが保険者、給付を受けるのが被保険者です。
(2) 地域保険の対象には、自営業者が含まれる。
医療保険制度には「被用者保険」と「地域保険」という2つの括りがあります。
被用者保険(職域保険) | 公務員、会社員(雇われて働いている者)、船員 |
地域保険 | 被用者保険以外 農林水産業者や自営業者、無職者など 国民健康保険がこれに当たる |
この中で自営業者は地域保険に該当します。他にも専業農家、個人事業主など国民健康保険を納めている者が該当します。
(3) 医療機関受診の際には、現物給付が原則である。⇨正解
上記で解説した通り、医療機関受診の際には”診察”、”手術”、”入院治療”といった医療サービスの現物給付が行われます。
(4) 異常分娩に対して、適用される。
医療保険制度は医療に関する保険ですが、分娩は医療保険の対象となるのかを問われている選択肢です。
まず前提として「正常な分娩は病気や怪我ではない」という定めがあります。ここの”正常”とは、療養の必要性があるかないかで判断され、「療養の必要がない=正常」です。よって正常分娩では医療保険の対象ではありません。
ただし、分娩全てが対象外というわけれではなく、医療的に支援が必要な分娩と判断された場合(異常分娩)に対して保険が適用されます。
なお、正常分娩の場合はかかる費用は全額自己負担ですが、「出産育児一時金」といった分娩費用の補助制度(平成27年時点で原則42万円)があります。
出産育児一時金・・・健康保険法等に基づく保険給付として、健康保険や国民健康保険な どの被保険者またはその被扶養者が出産したとき、出産に要する経済的負担を軽減するため、 一定の金額が支給される制度。(引用:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000700493.pdf)
(5) 75 歳以上の者は、後期高齢者医療制度に対し保険料を支払う。
医療保険制度では、75歳以上になると後期高齢者医療制度に加入することと定められています。後期高齢者医療制度においても保険料として個人単位で賦課されることとなっています。
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