第32回 16 介護保険制度に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。 【管理栄養士国家試験 過去問解説】

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16 介護保険制度に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1) 被保険者は、20歳以上の者である。

(2) 手すりの取付けの住宅改修は、給付対象になる。

(3) 予防給付の対象者は、要介護1、要介護2に該当する者である。

(4) 利用するサービスは、利用者自身が選択・決定できない。

(5) 管理栄養士による居宅療養管理指導料は、医師の指示なく算定できる。

 

 

正解 (2)

 

解説

 介護保険制度に関する問題です。内容は例年通り介護保険に関する事項の確認問題ですが、普段介護に携わる機会がない方にとっては選択肢(2)のような具体的な給付例は想像つきにくいかと思います。

 介護保険に関する問題は、まず介護保険が「”誰”にとって”何の目的”のために給付されるものか」を理解しておくと回答しやすくなります。介護保険は『”介護を必要とする方”にとって”これからも自立した生活をしていくため”に給付される』という自立支援の基本的な考え方が定められています。

 なので、高齢者をはじめ介護を必要する方を想像して、その方がこれからも生きていくために必要なものとなりそうかを考えてみましょう。

 

 <介護保険の基本的な考え方>

自立支援単に介護を要する高齢者の身の回りの世話をするということを超えて、高齢者の自立を支援する
利用者本位利用者の選択により、多様な主体から保健医療サービス、 福祉サービスを総合的に受けられる
社会保険方式給付と負担の関係が明確な社会保険方式

 

(1) 正:被保険者は、40歳以上の者である。

 介護保険制度では、被保険者は40歳〜64歳(そのうち医療保険加入者)を「2号被保険者」、65 歳以上を「1号被保険者」となると定められています。年齢が若い40歳〜64歳の方が2号被保険者なので注意しましょう。

 なお、保険料の徴収についても「40歳から」と定められていますので、合わせて覚えておきましょう。

 

(2) 手すりの取付けの住宅改修は、給付対象になる。⇨正解

 介護保険制度を使うことで、今住んでいる自宅でこれからも自立した生活を継続するために、自宅の改修費用の一部について給付を受けることができる制度があります。今回の問題は「手すりの取付け」が挙げられていますが、実際に手すりの取付は住宅改修としてよく行われています。

 自宅での転倒を防止し今後も自宅で生活を続けていくことを目的に手すりを設置することは、介護保険の基本的な考え方の一つである自立支援において適当であるため給付の対象となります。

 

(3) 予防給付の対象者は、要支援1、要支援2に該当する者である。

 介護保険の給付は誰でもどれだけでも受けられるのではなく、まず介護認定という介護の必要の度合いを判定してもらい、その認定にあった給付の範囲までを受け取ることができる仕組みとなっています。

 介護認定では要支援1、要支援2、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5の7段階で「介護度」を認定します。要支援1が最も介護の必要性の度合いが小さく、要介護5が最も大きいです。

 そのうち、要支援1・2と要介護1〜5に給付を大別しています。

予防給付要支援1、要支援2
介護給付要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5

この違いは以下のように理解しておきましょう。

“予防”給付・・・介護を必要する度合いが高くならないようにする”予防”を支援するための給付

”介護”給付・・・要”介護”の方のための給付

 

(4) 利用するサービスは、利用者自身が選択・決定する

 介護保険の基本的な考え方の一つに「利用者本位」と定められています。これは医療と同じように、受ける介護サービス(介護給付)を介護される方となる被保険者が選択するというものです。

 この定めから、介護現場においても介護サービスを受ける場合には、原則として利用者自身の同意が必要です。実務においても介護報酬を受け取る場合は、栄養士または管理栄養士が作成した栄養ケア計画書(被介護者の食事内容や食事支援の方針等を計画したもの)を、基本的に利用者自身またはその家族から同意の証として署名を取っています。

 

 介護報酬・・・介護保険制度に定められた介護サービスを提供する場合に、提供側が受け取ることのできる報酬。栄養マネジメント強化加算など。

 

(5) 正:管理栄養士による居宅療養管理指導料は、医師の指示のもと算定する

 居宅療養管理指導とは介護サービスのひとつで、自宅で生活する方に対して医師や管理栄養士などが療養のための健康管理や指導を行い、QOLの向上を図るサービスです。医師の指示に基づき介護支援専門員がプランニングすることで居宅療養管理指導を受けることができます

 なお、管理栄養士が行う指導とは「計画的な医学的管理を行っている医師の指示に基づき、栄養管理に係る情報提供及び指導又は助言を30分以上行う」と定められており、以下の加算報酬を受けられます。

R2年現在報酬単位
単一建物居住者が 1人の場合539
単一建物居住者が 2~9人の場合485
単一建物居住者が 10人以上の場合444

  


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