【管理栄養士より】認知症を予防する食事は?

高齢者の食事

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高齢社会を迎えている日本では、認知症となる高齢の方が多く

認知症への治療だけでなく、認知症の方を迎える環境の整備など多くの課題があります。

その中で、自分か認知症にならないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。

認知症を予防する食事はあるのでしょうか。

 

ここではこれまでに明らかとなっている認知症と食事との関係について解説し、認知症を予防する食事を紹介します。

 

 

「この栄養素を摂れば認知症にならない」という確証は今のところ無い

 

これまでに、『認知症を予防する栄養素は〇〇です』、『認知症にならない食べ物は〇〇です』、といったように認知症予防に有効な個別の栄養素は分かっていません。

 

多くの研究が今も行われていますが、ひとつの栄養素が認知症に良い悪いという断定はされていません

認知症診療ガイドライン2017でも、特定の栄養素を指して認知症の予防に有効という断定した明記はありません。

 

一方で、「このような食事を摂っていると認知症になりやすい/なりにくい」というように、総合的に食事全体の内容や傾向と認知症リスクとの関係性が分かってきています

では、どのような食事の傾向が認知症のリスクを高めてしまうのでしょうか。

 

 

認知症のリスクを高める可能性がある食事

 

(1)過剰にエネルギー量を摂ってしまう食事

高血糖や肥満は認知症のリスクを高めることが報告されています。

その高血糖や肥満を引き起こしてしまう食事を摂ることで認知症のリスクを高めてしまいます

では、高血糖や肥満を引き起こしてしまう食事とはどのようなものでしょうか。

それは「自分に必要なエネルギーよりも過剰に摂っている食事」です。

 

ひとの身体を動かすにはエネルギーが必要です。

そのエネルギー源は、炭水化物や脂質、たんぱく質といった食べた栄養を体内でエネルギーに変えて利用しています。

一方で、食事をたくさん摂りエネルギー源を多く摂ったものの、そのエネルギー源を使わなっからどうなるのでしょうか。

使わなかったエネルギー源は、「身体に溜めておき」今後使用するときにとっておきます。

エネルギーは脂肪などの形に変えて溜めていきます。これが積み重なって肥満となります。

 

つまり、自分の身体を動かすのに必要なエネルギーよりも多い食事を摂ると肥満を引き起こし、その肥満によって認知症のリスクを高めます。

要は食べ過ぎの食事が結果的に認知症を招いてしまう恐れがあります。

 

 

(2)偏った栄養バランスの食事  

エネルギーを摂り過ぎる食事の中でも、特に炭水化物を多く摂っており、その分たんぱく質や脂質が少ない食事がより認知量のリスクを高めてしまうと指摘されています。

炭水化物を多く含む食品は米やパン、めんのほか、チョコレート菓子等の砂糖を多く含むもの、清涼飲料水などです。

 

あなたの1日の食事を振り返ったとき、朝食はパンにジャムを塗ったもの、昼食はラーメンとおにぎり、日中はジュースで喉を潤す、夕食にご飯と肉か魚の料理を食べる、といった食生活をしていませんか。

確かに炭水化物を多く含む食品は手軽に食事を済ませられるものが多く、忙しい日々では重宝します。

ただ、このように炭水化物に偏った食事が習慣化し、炭水化物を摂りすぎて過剰にエネルギーを摂ってしまうことで、認知機能の低下を引き起こしてしまうリスクが高くなってしまいます。

 

 

認知症を予防する食事とは

 

では、認知症のリスクを少しでも下げ、認知症を予防する食事はどのような食事か解説します。

 

ステップ① 自分に合った食事の量を守る

まずは高血糖や肥満から認知症を引き起こさないように、食事の量を自分に合った量にしましょう。

もちろん、食事の量は過剰にならないようにするだけでなく、少なすぎても健康をいじすることはできません。

なので、自分の身体にとってどの程度の食事量が適しているのかを把握し、普段からその量を意識して摂ることが有効です。

 

ではあなたにあった食事量はどのくらいでしょうか。

以下に食事量の確認方法をまとめていますので一度自分に合った食事量をチェックしてみてください。

 

 

ステップ② いろいろな食品を組み合わせた食事を摂る

自分に合った食事の量を把握したら、次に炭水化物ばかり摂ることにならないように食事の内容を工夫します。

栄養バランスを整えるには、食べる食品の種類を多くすることが簡単な方法です。

 

先ほどの食事を例に揚げると、

朝食はパンにジャムを塗ったもの

パンは雑穀入りのものを選ぶ、パンに添えるものはジャム、チーズ、目玉焼きを日替わりにする。果物や野菜を加える。

 

昼食はラーメンとおにぎり

ラーメンのお供はサラダなど野菜を使った料理に替える。

 

日中はジュースで喉を潤す

水分補給はお茶を摂る。ジュースは嗜む程度とする。

 

夕食にご飯と肉か魚の料理を食べる

副菜として野菜を使った料理や汁物を加える。

 

このように、食品の置き換えと追加で、日々の摂る食品の種類を増やしましょう。

目標は1日に20種類以上の食品を摂ることです。

特に牛乳・乳製品や野菜、海藻、大豆製品は認知機能の低下を防ぐ可能性が報告されていますので、意識して摂ってみてください。

 

バランスの良い食事について詳しくはこちら。

 

 

(補足)抗酸化作用が認知症予防に有効?

身体内の脂質は酸化という形の変化をします。酸化された脂質は、血管の詰まりの原因となるなど身体にとって不利益な影響を与えることが分かっています。

この酸化を抑える「抗酸化作用」をもつ栄養素のうち、ビタミンEが認知症の予防に有効ではないかと言われています。

ビタミンEを多く含む食品は、ナッツ類やかぼちゃ、ほうれん草、ブロッコリーなどです。

現時点で断定はされていませんが、今後の研究報告を注視します。

 

 

 

以上、認知症を予防する食事について解説しました。

認知症と食事との関係は今のところ未解明なことが多く、今後情報が更新されていくと思われます。

有益な情報が報告され次第こちらでも紹介していく予定です。

 

 

まとめ

〇「この栄養素を摂れば認知症にならない」という確証は今のところ無い

〇認知症のリスクを高める可能性がある食事パターンは「食べ過ぎ」と「炭水化物の偏り」

〇認知症を予防する食事パターンは「自分に合った食事の量」、「栄養バランスの良い食事」、「抗酸化作用のある栄養素を含む食品を摂る食事」

 

<参考>

認知症診療ガイドライン2017 日本神経学会

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