炭水化物とは 【独学用 管理栄養士による栄養学解説】

独学

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三大栄養素のひとつである炭水化物はひとの生命を維持するうえでとても重要な栄養素です。

炭水化物ということば自体は、学校の家庭科や生物の授業や、テレビの健康番組など、栄養学を学ぶ前でもどこかで聞いたことがあるかと思います。

   

炭水化物と、今後解説するたんぱく質、脂質を含めた三大栄養素は、

基本の栄養素でありながら身体にとってとても興味深い役割を担っており、それぞれが互いに関係しながら私たちの生命を支えています。

ひとつひとつの栄養素を単独で覚えるためではなく、自分の身体にどのように関わっているのかを含めて解説していきますのでぜひご参考下さい。

 

今回より「炭水化物」を解説していきます。

 

炭水化物は『糖質』と『食物繊維』の総称

      

炭水化物は炭素と水が結合したもので、主に植物性の食品に含まれます。

炭水化物は、ご飯やパンなどに多く含まれる『糖質』という栄養素と、野菜や果物に多く含まれる『食物繊維』という栄養素の2つに分けられます。つまり、炭水化物は『糖質』と『食物繊維』の総称です。

  

よく糖質と炭水化物を同じようなニューアンスで使う場面がありますが、本来は炭水化物のひとつが糖質です。

具体的にいうと、砂糖は『糖質』なので炭水化物のひとつですし、野菜に含まれる『食物繊維』も炭水化物です。味も形も違うけれどどちらも炭水化物の仲間です。

   

なので混乱しないように、私たち管理栄養士は栄養指導するときなどでは炭水化物ということばではなく、糖質や食物繊維と別けて伝えています。

 

 

(参考)食品に記載されている栄養成分表示

食べ物や飲み物のパッケージの裏などによく見かける栄養成分表示は炭水化物で表示されています。これは内閣総理大臣の定める「栄養表示基準」という基準を基に①エネルギー、②たんぱく質、③脂質、④炭水化物、⑤ナトリウムの順番で必ず記載するよう決められているためです。

食品を手に取るときにはぜひ栄養成分表示を見てみてください。

 

 

以下『糖質』と『食物繊維』を簡単に紹介します。

(『糖質』と『食物繊維』の詳しい内容は次回以降で解説します。)

 

消化吸収されて身体のエネルギー源となる『糖質』

 

糖質は主にご飯やパン、めん類、果物などに多く含まれる栄養素です。

日本人の主食となるご飯に多く含まれますので、普段の食事から当たり前のように摂っている栄養素のひとつです。

 

ご飯が主食となる食文化には大きな意味があります。

それは、糖質は身体を動かすエネルギー源となるという、ひとが生きていくためにとても重要な役割を糖質が担っており、

その糖質というエネルギー源を日々の食事から摂っていくという食文化が古来より培われてきたということです。

 

 

     

  

糖質と聞くと砂糖のような甘いイメージをお持ちの方もおられると思いますが、砂糖はショ糖という糖質のひとつですので正しいイメージです。

また、糖質を控えるとダイエットに良いという糖質制限ダイエットを勧める専門家もいますが、

これは糖質が身体のエネルギー源となる特性から、糖質の摂りすぎによって身体に必要なエネルギーの量よりも多くの量を摂ることとなり、その後使われなかったエネルギー源が身体に溜まっていくことで身体が肥っていくということから、そもそもの糖質の摂りすぎを控えて肥るのを抑えようというダイエットの考え方からきています。

このように、糖質は普段から馴染みのある栄養素でありながら、身体にとって重要なエネルギー源となる栄養素として理解しておきましょう。

糖質について詳しくは次ぺージで解説します。

 

(補足)身体のエネルギー源とは・・・

ひとは生きていくために呼吸をしたり心臓を動かしたりしています。また、どこかに移動するには足を使い歩きます。この身体を動かすときには、車のガソリンのようにエネルギー源が必要です。

その生きていくために身体のエネルギー源は、普段の食事から摂っている栄養素がその役割を担っています。栄養素それぞれでいろいろな特徴のあるエネルギー源となりますが、食事で得たエネルギー源で身体を機能させています。

詳細は以下のページをご参照ください。

  

 

消化されない『食物繊維』

 

食物繊維と聞いて多くの方がイメージするのは「野菜」かと思いますが、中には「腸」を思い浮かべる方もおられるかと思います。

食物繊維は他の栄養素とは違った特徴のある栄養素ですのでその特徴をおさえておきましょう。

 

食物繊維は野菜や果物、いも類、きのこ類などに多く含まれる栄養素です。

他の栄養素は腸から身体に取り込まれる消化と吸収を経て身体の様々な役割を担いますが、

食事から摂った食物繊維はひとの消化能力では消化することができないという特徴があります(栄養学では難消化性成分と呼んでいます)。

 

食物繊維は消化されない特徴から、腸の中で様々な役割を果たします。

よく耳にするのは「腸の調子を整える」や「腸をきれいにする」といった作用でしょう。

これは食物繊維の整腸作用を指しており、食物繊維を摂ることで便通を改善する役割をいいます。

 

また、食物繊維は他の栄養素の吸収を邪魔する作用もあり、良い作用として働くと過度な栄養の吸収を妨げることから肥満予防の作用も報告されています。

食物繊維の作用についての詳細は次々ページで詳しく解説します。

 

 

(参考)食物繊維はいらない栄養素?

食物繊維はひとのちからでは消化することができず、身体に吸収されないことから身体にとって不要な栄養素と考えられていた時代もあります。ですが現在の栄養学では食物繊維の有用性が見直され、食物繊維を摂る方が病気になりにくく健康に良いとの報告も出ていることから、身体に吸収されなくともひとにとって必要な栄養素であるとの認識が一般的です。

 

 

まとめ

●炭水化物は『糖質』と『食物繊維』の総称。

●『糖質』は、主にご飯やパン、めん類、果物などに多く含まれる栄養素で、身体を動かすエネルギー源となる。

●『食物繊維』は、主に野菜や果物、いも類、きのこ類などに多く含まれる栄養素で、ひとの消化能力では消化されず腸内で働く。

  

 

以上炭水化物について概要を解説しました。

次ページで『糖質』について詳しく解説していきます。

 

目次

はじめに

基礎編

 [1]総論 それぞれの栄養素の概要を理解しましょう。

  1-1 炭水化物とは  

   1-2 糖質

   1-3 食物繊維

  2-1 たんぱく質とは

  3-1 脂質とは

  4-1 ビタミンとは

  5-1 ミネラルとは

 [2]各論 栄養を摂ったあとどのように栄養素が働くのかを理解しましょう。

応用編

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