身体のなかの糖の動きを理解する①(インスリンと血糖の関係) 

独学

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身体に取り込まれた糖質は代謝を経て直ぐに身体のエネルギーに変換されたり、今後エネルギーにするために身体に貯蓄されたりといった動きをします。

この糖の動きを理解することで、糖質を食事で摂ることがどのように身体に働くのかといった基礎栄養から、食事と病気との関係といった臨床栄養までの基礎作りになります。

ここでは身体のなかの糖の動きを解説しています。

糖の動きを調整するホルモンの働きに着目してみていってください。

 

ホルモンの働きを理解するには身体の恒常性を先に頭に入れておくとより理解しやすくなりますのでこちらからご覧ください。

 

 

 

ホルモンによる血糖調節

 

身体の中の糖の動きを理解するには、血糖値(血液の中の糖濃度)の動きを把握しましょう。

糖は血液の流れに沿って身体全体に届けられます。

血糖値の動きを把握することが身体全体の糖の動きをみるポイントなのでおさえておきましょう。

 

血糖値の動きは、血糖値を下げる働きのあるホルモンの「インスリン」血糖値を上げるホルモンのひとつである「グルカゴン」の作用がカギなので、

それぞれのホルモンの作用を学びましょう。

 

 

食後の血糖調整(インスリンの働き)

 

食事を摂った後(食後)では、食事から糖質が吸収されるので、血糖値が上昇します。そのときのホルモンの働きと血糖値の動きをながれは以下のようになります。

 

食後糖が吸収され血糖値が上昇する

(上昇した血糖値を下げるように身体の恒常性が働くので)

血糖値の上昇を感知し、インスリンが膵臓から分泌される(追加分泌といいます)

インスリンの働きにより、血中から肝臓への糖の取り込みが亢進される。

同時にインスリンの働きにより、肝臓から血中への糖の排出が抑制される。

肝臓に取り込まれなかった血中の糖は筋肉や脂肪組織に取り込まれる。

血中の糖が少なくなる。

血糖値が下がる。

 

このように、食事によって血糖値が上がったことを感知した身体はインスリンを追加分泌させ、血中の糖を肝臓や筋肉、脂肪組織に届けます。

 

 

血糖値を下げるホルモンはインスリンだけ

 

ひとに備わっている血糖降下作用のあるホルモンはインスリンただひとつです。

血糖値を上げる働きのあるホルモンは多くの種類があるのですが、下げるホルモンはひとつしかありません。

 

その理由として知られているのは、ひとの生存と飢餓の歴史によるものです。

糖は身体にとって生きるためのエネルギーとなります。そのため身体の中の糖が少ないとひとは生きていけなくなってしまいますので、生命を維持するためにはなんとかエネルギー源となる糖の量を保つ必要がります。

身体の中の糖を増やすには食事を摂ればいいのですが、大昔よりひとが生きてきた世界では多くの食糧があったわけではなく、食事から十分な糖を摂ることはできませんでした。

そこで、身体の中で糖を作りエネルギーに変える機構がひとの進化の中で備わってきました。そのひとつがホルモンによる血糖の上昇で、筋肉などを分解して糖を生成するものです。

そのように身体のなかの糖生成の機序はいろいろなパターンが作られ、飢餓から声明を守るように進化していきました。

 

ここまでみると、ひとの生命の長い歴史では気がとの戦いが主で、「血糖値を下げる」作用はそれほど必要とされなかったことがわかると思います。

そのため血糖値を下げるホルモンはインスリンのひとつしかないと言われています。

 

インスリン作用不良が糖尿病の原因となる

 

一方で、ここ数十年の間にひとは飽食の時代を迎え、身体の中で糖を生成しなくても、食べることで糖を取り込むことが容易になりました。

今は血糖値を上げるホルモンの働きはさほど必要ではなくなり、むしろ食事で高くなりすぎている血糖を下げるためにインスリン過剰に働いています。

 

インスリンが働きすぎて疲弊すると、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が増したり、インスリンの分泌量が少なくなる「インスリン不足」が起きたりといったインスリン作用不良となり、血糖値が下がりにくくなることで糖尿病の原因となります。

糖尿病に食事の見直しが有効とされているのは食べすぎによるインスリンの働きすぎを防ぐ意味もあるので、普段の食事からインスリンが疲弊しないように血糖管理を意識しておくことが大切です。

 

 

 

インスリンはどこから分泌されるか

 

インスリンは膵臓にあるランゲルハンス島とよばれる細胞のうち、β細胞から分泌されます

膵臓は食べ物を消化する消化液である膵液を生成する働きがあり、その働きのひとつとして血糖を下げるインスリンや、血糖を上げるグルカゴンといったホルモンを生成しています。

 

 

 

インスリンは血糖上昇作用のあるグルカゴンなどの働きを抑制する

 

インスリンは血糖値を下げる作用があることを解説してきましたが、

インスリンのもうひとつの作用として、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンなどの作用を抑える働きが知られています

 

ひとの身体ではインスリンとグルカゴンが常に分泌されてバランスを取りながら血糖値を一定に保っています。

食事で血糖値が高くなるとインスリンが追加分泌され血糖値を下げようとしますが、グルカゴンも同じように分泌されたら血糖値を下げにくくなってしまうので、

グルカゴンの働きをインスリンが抑えることで、スムーズに血糖値を下げれるようにしているのです。

 

このようにインスリンとグルカゴンは拮抗する関係で、

インスリンは直接血糖値を下げながら、血糖値を上げるホルモンの働きを抑え間接的にも血糖値を下げる働きがあります。

 

 

 

以上、「身体のなかの糖の動きを理解する①(インスリンと血糖の関係)」について解説しました。

血糖値を上げる働きのホルモンも合わせて理解しておくことで身体のなかの糖のながれを把握しやすいのでおさえておきましょう。

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