「食事中にむせがあり上手く食事が食べられないときはどうしたらいいですか」
「誤嚥性肺炎にならないようにできることはありますか」
年齢とともに食事を噛む力や飲み込む力は低下していき、食事を摂っているときにむせてしまうことが多くなっていきます。
食事を誤嚥してしまうと、誤嚥が原因で肺炎となり、ひどい場合は入院したり、重篤になったりする恐れもあるので
高齢の方にとって誤嚥を予防することは、健康を維持する上でとても大切です。
ここでは、誤嚥が気になる高齢の方向けの食事についてポイントを紹介します。
食事のときにむせる、誤嚥が心配といった方にお役立ちできたらと思います。
高齢者におすすめ 誤嚥予防の方法
(1)むせる原因に適した食事を摂る
誤嚥を予防するための食事は、食事でむせる、誤嚥する原因ごとに分けて考えます。
まずは、自分や家族にとって食事でむせる原因が、
以上のどちらか、または両方かを見てみてください。
むせる原因別に食事の内容を紹介します。
両方とも当てはまる場合はどちらの内容も参考にしていただけたらと思います。
①「食事を噛むこと」がしづらい
噛むことがしづらい場合は、
食事の形態を軟らかめにして、「噛むことが弱くても、口の中で食事がまとまり飲み込みやすいように」食事の形を調整します。
作った料理を小さく切る、
肉は薄く切り長時間煮込む、
繊維のある野菜は繊維を切るように下処理する、
茎のある野菜は茎を取り除く、
粘りの強い山芋などは使用しない、
など調理のときに食べやすくなるように工夫します。
また、作った料理をきざむように切る「きざみ食」にすると、食事をほとんど噛むことができない方でも食べられる食事となります。
飲み込みが十分でない方には、きざみ食の上にあんかけをすると、口の中でまとまりやすくなり飲み込みがしやすいので
味付けに使った調味料や煮汁などにとろみをつけて、料理のソースのようにかけると見た目や味をを損ねずに食べることができます。
②「食事を飲み込むこと」がしづらい
飲み込むことがしづらい場合は、
料理にとろみをつけて、飲み込むときに口の中で食べ物がばらばらになりにくいようにします。
噛むことができるなら料理は軟らかくしすぎると、料理の見た目を損ねたり、食べた時の食感などを失ったりして食欲を低下させてしまかねないので、
あんかけソースを添えて、口の中で料理を噛んだ後にまとまりやすくなるようにしましょう。
また、料理を一度裏ごしして滑らかにし、型にはめて見た目を整える「ソフト食」は、料理の見た目も損ねにくく、飲み込みが苦手な方におすすめの食事です。
裏ごしをミキサーで代用しても大丈夫ですが、
さらさらになりすぎないようにとろみの固さを調整しましょう。
とろみの具体的なつけ方やおすすめのとろみ剤を以下のページで食品を紹介しているのでご参考ください。
(2)食事前に水分を摂る
食事を摂る前に水分を摂ることで、口の中を湿らします。
口の中が乾燥していると、食べたものが口の中につきやすく、食塊(口の中で噛んだものがまとまったもの)が作りにくく飲み込みがしづらくなります。
お茶などを食事の前に一口飲むことで口の中の乾燥を和らげ、誤嚥しにくい状態で食事をはじめるようにしましょう。
(3)ゆっくり食べる
短時間でたくさん食べるとむせや逆流を引き起こしやすくなります。
むせることがないように適量を一口ずつ口に入れ、噛むことを意識して食べるようにしましょう。
また、口の中に食べ物がある状態で水分を摂ると誤嚥しやすいので、
一口飲み込んだ後にお茶などは摂るようにしましょう。
食事を介助する場合は、食べる方の飲みこむ様子を確認しながら介助します。
飲み込む前に次の食事を口に入れると、噛むことや飲み込むことがしづらくなり誤嚥につながってしまいます。
飲み込みを確認しながら、食べる方のペースに合わせて食事介助しましょう。
(4)食後に安静にする時間を設ける
食事が終わった後はすぐに活動せずに、ゆっくり休む時間を設けましょう。
食後安静にすることで、食べたものが食道から胃に良好に流れるようにして、食べたものが逆流しないようにします。
安静にするときの姿勢は座った状態か、ベッドのリクライニングを高く(45~60度)にしましょう。
身体を横に倒したり、ベッドのリクライニングを低くしたりすると逆流しやすくなる恐れがあるので控えてください。
(5)発熱やせきがひどくなったら早めに医療機関に受診する
高齢の方にとって誤嚥が原因で引き起こされる肺炎(誤嚥性肺炎)は
せきがひどくなったり、発熱があったりして自覚することが多いです。
肺炎は高齢の方にとって命に係わる状態まで悪化することもあり、食事のむせでも十分に重篤な肺炎を引き起こす恐れがあります。
体調の不良を感じたら早めに医療機関を受診してください。
まとめ
○食事でむせる原因に合わせて食事を摂る
○食事前に水分を摂る
○ゆっくりと食べ、食後は安静にする時間を設ける
○体調不良の時は早めに受診する
以上、「高齢者向け 誤嚥が気になる方の食事ポイント」を紹介しました。
誤嚥を予防することばかりに気を付けると、料理の見た目や食感を失い食欲がなくなってしまうこともあるので、
噛むことや飲み込むことの状態に合わせた食事を摂るようにして、おいしい食事となるようにしてみてください。