「骨粗鬆症が気になります。骨に良い食事はどのようなものですか。」
骨は年齢とともにもろくなりますが、目に見えないので気づかないうちに骨密度が低下し骨粗鬆症となっているおそれもあります。
一方で骨粗鬆症はカルシウムをしっかりと摂る食事で予防ができます。
日ごろから骨粗鬆症の予防に必要なカルシウムを摂ることが重要なので、カルシウムの多い食事をしてみませんか。
ここでは骨粗鬆症の予防のための食事を3つのステップで紹介しています。
ぜひご参考いただき骨粗鬆症の予防にお役立てできたら幸いです。
骨粗鬆症予防のための食事3ステップ
骨粗鬆症予防のための食事は、骨を形成する重要な栄養素のカルシウムを補給しつつ、カルシウムの吸収を助ける栄養を摂りながら、吸収を妨げる栄養の摂りすぎを控える食事です。
食事の進めかたは
- カルシウムが不足しているかをチェックする
- 「不足するカルシウムを補う」食事を摂る
- 「吸収を助ける」食品を摂り「吸収を妨げる」食品を控える
以上の3ステップで進めていきます。
ステップ① カルシウムが不足しているかをチェックする
まずは、今の自分の食事で骨粗鬆症の予防に必要なカルシウムが摂れているのかを確認し、どの程度のカルシウム補給が必要かをチェックしましょう。
カルシウムの必要量については、厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準2020年版で、
年代ごとにカルシウムを1日にどのくらい摂ればいいかが設定されています。
あなたがどのくらいのカルシウムを摂ったらいいのか、日本人の食事摂取基準2020年版の内容を以下のページで紹介しているのでご参考ください。
また、骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版という、日本骨粗鬆症学会などが作成しているガイドラインでは、年代に関わらず骨粗鬆症の予防のためには1日700~800mgのカルシウム摂取が望ましいとされています。
まとめると、骨粗鬆症の予防には、日本人の食事摂取基準2020年版に示される量は最低でも摂り、できるだけ1日700~800mgを目標に摂取することが有効です。
では、実際に今自分がどのくらいカルシウムを摂っていて、カルシウムが足りているのかまたは不足しているのかを調べましょう。
カルシウムが足りているかを調べるには、骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版に記載されている「カルシウム自己チェック表」を使うと簡単で分かりやすいです。
以下のページで「カルシウム自己チェック表」で調べる方法を紹介しているのでご参考ください。
カルシウムの摂取状況を調べた後、
カルシウムが不足する場合はステップ②に進んでください。
カルシウムが足りている場合はステップ③に進んでください。
ステップ② 「不足するカルシウムを補う」食事を摂る
必要なカルシウムが足りていない場合、普段の食事にカルシウムの多い食品を意識的に取り入れましょう。
カルシウムは乳製品や、大豆製品などに多く含まれます。
具体的にどの食品を摂ったらいいのか、以下のページにおすすめの食品をまとめていますのでご参考ください。
どのくらいの食品を取り入れるかの目安は、
カルシウムが少し足りていない場合は、カルシウムの多い食品を毎日1~2品、
カルシウムがかなり足りていない場合は毎日3品以上摂ることから始めましょう。
くり返しますが、カルシウムの摂取量を高めるには、意識的にカルシウムを多く含む食品を摂ることが重要です。
1日のうち自分の食生活にあったタイミングでカルシウムの多い食品を摂る習慣をつけましょう。
ステップ③ 「吸収を助ける」食品を摂り「吸収を妨げる」食品を控える
カルシウムの多い食品を摂ったら、次はカルシウムの吸収を助ける栄養を摂り、より効率よくカルシウムを吸収できる食事にします。
カルシウムの吸収を助ける代表的な栄養素はビタミンDです。
ビタミンDは主に魚やきのこに多く含まれるので意識的に摂りましょう。
ビタミンDを摂れるおすすめの食品を以下にまとめていますのでご参考ください。
また、他の栄養素にもカルシウムの吸収を助けるものや吸収を妨げるものがあります。
吸収を高める食品は積極的に摂り、吸収を妨げる食品は摂りすぎを控えることが大切です。
具体的な食品の例を以下にまとめているので合わせてご参考ください。
カルシウムを多く含む食品を意識的に取り入れながら、
ビタミンDやビタミンKなどカルシウムの吸収を助ける栄養素を合わせて摂り、
リンや食塩などカルシウムの吸収を妨げる栄養素を摂りすぎないようにする。
この食事の進めかたが骨粗鬆症の予防につながります。
どの年代でもカルシウム摂取は骨粗鬆症の予防になる
カルシウムを摂ることはどの年代においても骨密度を高めることが期待できるとされているため、骨粗鬆症を予防するための食事は今からはじめても遅くはありません。
ひとの骨密度は20歳のときの密度が最大値となり、そこから年齢とともに減少します。
なので、将来的に骨密度を維持するには20歳までにカルシウムを十分に摂り骨密度の最大値を高めることが重要です。
子どものときからカルシウムを多く含む食品を摂り、骨密度を高めるような食事を摂りましょう。
また、20歳を超えているからといって、今さらカルシウムを摂っても意味がないといったことはありません。
中高年の方でも、今の骨密度を高めることは十分に期待できます。
特に更年期を迎える40~50代の女性の方は、骨密度が急激に低下するため早めからカルシウムを多く摂れる食事をおすすめします。
骨粗鬆症予防のための食事は栄養バランスの良い食事になる
カルシウムを多く含む食品を摂ることは、骨粗鬆症の予防のためだけでなく、
栄養バランスの整った食事になることも大きなメリットです。
カルシウムを多く含む牛乳・乳製品や大豆製品はたんぱく質も多く含みます。
また、カルシウムを摂るために小松菜などの青菜を摂ることでビタミンやミネラルを摂ることができます。
さらに、ビタミンDを摂るために魚を摂ることでn-3系多価不飽和脂肪酸を摂ることにもなるだけでなく、きのこを摂ると食物繊維を摂ることにもなります。
このように、たんぱく質やn-3系多価不飽和脂肪酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維を摂ることにつながるので栄養バランスの良い食事ができるようになります。
そして、リンを摂りすぎないように加工食品を減らしたり、食塩を摂りすぎないように調味料を減らしたりすることで結果的に健康な食事となります。
このように、骨粗鬆症予防のための食事は骨の健康だけでなく、身体全体の健康を維持するにもとても有効な食事となりますので、ご家族みんなの健康のためにおすすめします。
参考文献
(1)骨粗鬆症予防と治療ガイドライン2015年版, 44-47, 2015
(2)骨粗鬆症予防と治療ガイドライン2015年版, 78-79, 2015
まとめ
○カルシウムを多く含む食品を意識的に取り入れる
○ビタミンDなどカルシウムの吸収を助ける栄養素を合わせて摂り、リンなどカルシウムの吸収を妨げる栄養素を摂りすぎないようにする。
○カルシウムを摂ることはどの年代にも有効。
○骨粗鬆症の予防のための食事は身体全体の健康につながる。
以上、「骨粗鬆症予防のための食事の進めかた」を紹介しました。
骨粗鬆症の予防のための食事はどの年代でもとても重要でありながら、骨の健康だけでなく身体全体の健康にもなります。
ぜひ参考にしていただき実践してみてください。