食塩の目標となる基準(目標量)が引き下げられました

成人の食事

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普段食べている料理には様々な調味料が使われていますが、あなたは「○味が好き」といった好みの味がありますか。

しょうゆやマヨネーズ、ケチャップなど色々なものが組み合わさることで調和をとり、お互いの味を引き立ててできた料理を頂くと、とても美味しいと感じます。

 

調味料の多くは食塩が含まれる

さて、その調味料ですが、多くは食塩を含んでいます。食塩は味付けの一員を担っていますが、食塩の摂りすぎは健康によくないことを聞いたことがある人は多いと思います。

血圧が高いから食塩を減らした方がいいと「減塩」を勧められた方もおられるでしょう。

 

その食塩ですが、厚生労働省は2020年から食べる目標となる量(目標量といいます)を引き下げることとしました。

 

日本人の食事摂取基準2020年版

 

栄養士が献立を立てる際に、食事を食べられる方にとって、それぞれの栄養素をどのくらい摂ればよいかという基準があります。「日本人の食事摂取基準」といい、厚生労働省が発表しています。5年に1度見直しをしており、昨年12月24日に「日本人の食事摂取基準2020年版」が発表されました。

これにより、我々栄養士はこの「日本人の食事摂取基準2020年版」に合わせて献立の基準を調整します。

 

前触れが長くなりましたが、その「日本人の食事摂取基準2020年版」で、今までの食事摂取基準から変わった点があります。そのひとつが今回のテーマである「食塩(正確には食塩相当量)の目標量引き下げ」です。

  

食塩相当量の目標量

 

成人男性は1日8.0g未満であった目標量が7.5g未満に、成人女性は1日7.5g未満であった目標量が7.0g未満に、それぞれ0.5gずつ引き下げられました。

 

0.5gというとなかなかパッとしないかもしれないですが、だいたいマヨネーズでいうと大さじ2強、うすくちしょうゆでいうと小さじ1/2強です。

味付けをするときにマヨネーズ大さじ2ほどを減らすと味が物足りなく感じるかもしれません。

 

ただ今の日本全体で食塩摂取量が多いことを踏まえると目標量を引き下げることは適当だと思います。

 

食塩と病気の関係

 

厚生労働省は日本人の食事摂取基準2020年版で以下のように食塩と病気との関連について説明しています。

慢性腎臓病(CKD)に対しては、食塩の過剰摂取が高血圧を介して、CKD の発症、重症化に 関与している可能性が示されている

厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版

日本人を対象とした研究も含むメタ・アナ リシスでは 、高食塩摂取は胃がんのリスクを高めると報告されており、別のメタ・アナリシスでも食塩摂取量が増えるに従い、胃がんのリスクが高くなると報告されている。

厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版

 

メタ・アナリシスなど難しい言葉も出てきていますが、これは研究方法のことなので今回は飛ばします。

厚生労働省は、食塩には「高血圧」を引き起きすことで腎臓を悪くする恐れを指摘しています。

また、食塩の過剰な摂取は胃がんのリスクを高める恐れを説明しています。

 

やはり食塩を摂りすぎると様々な病気を引き起こす可能性がありますので注意が必要です。

 

世界的に減塩が勧められている

 

減塩の動きは日本だけでなく世界的におこなわれています。海外のほうがさらに少ない食塩の摂取量を設定しています。

 

日本人の食事摂取基準2020年版で分析されていますので引用します。

欧米の大規模臨床試験 の結果から見ると、事実として、少なくとも6 g/日前半まで食塩 摂取量を落とさなければ有意の降圧は達成できていない。これが、世界の主要な高血圧治療ガイドラインの減塩目標レベルが全て6 g/日未満を下回っている根拠となっている。

厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版

近年欧米においては一層厳しい減塩を求める動きもある。アメリカ心臓協会(AHA) では 2010 年 33)に勧告を出しているが、ナトリウム摂取量の目標値を一般成人では 2,300 mg (食塩相当量 5.8 g)/日未満、ハイリスク者(高血圧、黒人、中高年)では 1,500 mg(食塩相当量 3.8 g)/日未満とした。

厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版

2018 年に発表されたヨー ロッパ心臓病学会、ヨーロッパ高血圧学会(ESC/ESH)のガイドラインでは、食塩摂取量は1日 5 g 以下にするように勧めており、2012 年の WHO の一般向けのガイドラインでも、成人 には食塩5 g/日未満の目標値が強く推奨されている。

厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020年版

まとめると、「血圧を下げるには食塩は1日6g未満にするべき」とか、「1日2.5gの減塩を勧めている」、「WHOは食塩を1日5g未満にすることを推奨する」などが書いてあります。

  

ちなみに、日本人は平均で1日に10g以上の食塩を摂っていますので、海外の各目標量との間にかなりの差があります。

 

食塩目標量の引き下げの意味

 

海外の目標量をみると、今回の日本人の食事摂取基準2020年版は成人男性で1日7.5g未満、成人女性で7.0g未満ですから、今回は極端な引き下げではありません。

これは日本人の食習慣を配慮し『現実的に達成できそうな目標量』として設定されたためです。

 

日本においても、日本高血圧学会や日本腎臓病学会では1日6g未満を推奨しています。できるなら食塩は6g未満にするのが最適です。

ただ、いきなり大きく引き下げてしまうと達成が難しくなりますので、『目標量』として成人男性は1日7.5g未満、成人女性は1日7.0g未満となりました。

 

よって、可能なら食塩は男性も女性も1日6g未満としたほうがより好ましいです。

 

 

今回は日本人の食事摂取基準2020年版で変更された食塩の目標量について紹介しました。

食塩は料理において味としての重要な役割を果たしながら、過度な摂取は病気の危険性があります。

さらに、今の食塩量は既に多すぎているため、栄養士は減塩を勧めています。

 

 

 

以上です。次回は実際に食塩を減らす方法についてご紹介します。

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