【管理栄養士より】自分に必要な食事の量とは

成人の食事

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「健康を維持するために食事の量を見直したい」

「自分に必要な食事の量を知りたい」

 

 

食事の量は普段どのように決めていますか。

 

お腹いっぱいまで食べる、そのときの気分で決めるなど人それぞれだと思いますが、

健康維持に必要な食事も量を知っておくと、今後食事の基準になるので便利です。

 

食事の量は、食事から摂取するエネルギー量(摂取エネルギー量と言います)ことを指します。

 

この摂取エネルギー量の不適合が、栄養バランスの乱れ、引いては生活習慣病を誘発する大きな要因となります。

 

反対に言うと、自分に合った食事の量を知っておくことで摂取エネルギー量をコントロールできますので

生活習慣病の予防につながります。

 

おいしいものをいつまでも食べられるように健康を維持するには、ここで自分に必要な食事の量を把握しておきましょう。

 

こちらでは6歳から64歳向けの食事をまとめています。

妊婦・授乳婦の方や治療中のため食事療法を行っているかたは担当の栄養士に従ってください。

 

65歳以上の方向けの食事の場合はこちらに特記していますのでご覧ください。

 

 

自分に必要な食事の量を知る方法

①日本人の食事摂取基準2020年版を参考に必要なエネルギー量を知る 

 

1番わかりやすく、かつ万人に適切となりやすい方法は、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準2020」を参考にすることです。

 

日本人の食事摂取基準とは厚生労働省より、日本人全体に向けた各栄養素の摂取量の指標のことで5年に1度改訂されます。

今年2020年版が発表されました。

 

我々管理栄養士はほとんどがこの日本人の食事摂取基準をもとに栄養管理の大元の方針を決めます。

 

ただ、管理栄養士向けの内容で一般の方は読むのが難しいところがありますので、

ここでは日本人の食事摂取基準2020年版の「推定エネルギー必要量」を参考に食事の量の目安を紹介します。

 

 

以下に食事の量の目安を表にしています。

日本人の食事摂取基準2020年版では推定エネルギー必要量として食事量を示しています。

自分の「性別」「年齢」「身体活動レベル」から当てはまるものを選んでください。

 

日本人の食事摂取基準2020年版では「身体活動レベル」を以下のように定めているのでこちらを参照に選んでください。

 

身体活動レベルはⅡを基準として、

身体活動レベルⅡの日常生活の内容ほど運動していなければ身体活動レベルⅠを、

運動していれば身体活動レベルⅢを選ぶと良いです。

 

部活などで強度の運動をしている場合は身体活動レベルⅢでも食事量が不足することがありますので注意してください。

 

 

(例1)19歳男性 大学生 運動は週2日サークル活動のとき

「性別」・・・男性

「年齢」・・・18~29歳

「身体活動レベル」・・・Ⅱ

とすると推定エネルギー必要量は1日2650kcalです。

 

(例2)42歳女性 事務職 特別な運動習慣はない

「性別」・・・女性

「年齢」・・・30~49歳

「身体活動レベル」・・・Ⅰ

とすると推定エネルギー必要量は1日1750kcalです。

 

あなたの推定エネルギー必要量、つまり食事の量が何kcalか把握することができればここまでクリアです。

 

 

②実際の主食、主菜、副菜の量を把握する

 

ここまで自分に必要な食事の量は1日○○kcalと数字で見てきましたが、実際の食事としてはどのくらい食べたらいいのか、まだはっきりと把握できていないと思います。

(把握できた方は以下飛ばしていただいて大丈夫です。)

 

実際の食事の量は推定エネルギー必要量に適した主食の量をみると想像しやすいです。

 

以下が1食当たりのご飯の目安の量です。

 

この表の割合をもとに、自分に必要な1日の食事の量から1食当たりのご飯の量をみると、

食事全体としてどのくらい食べるのが良いのかの目安となります。

 

 

ご飯の量を決めたところで、実際に食事の量を決めていくには以下の手順を踏みます。

  1. 1日の食事の量に合わせたご飯の量を決める(上記で決めたものがこの段階です)
  2. 1日の食事の量から、ご飯を食べることで摂取するエネルギーの量を引く
  3. 引いた残りのエネルギー分を主菜、副菜で摂る

 

具体的に見たほうが分かりやすいので例をみながら解説します。

 

(例)推定エネルギー必要量 1750kcalの場合

ご飯の目安は150g

150gのご飯を1日3食食べると、1日で450g食べることになるので、

ご飯を食べることで摂取するエネルギー量は450g × 1.68  =  756kcal

 

(補足)この1.68という数字は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)という食品に含まれる栄養量を定めている指標で『炊飯した白米のご飯は100gあたり168kcal』と決められているので、

『ご飯1gあたり1.68kcal』として掛け合わせているためです。

 

つまり、1日でご飯から756kcalを摂ることになるので、

 

1日の食事の量1750kcal - ご飯で摂るエネルギー量756kcal = およそ1000kcal

 

となり、主菜、副菜で1日1000kcalを摂る計算となります。

 

 

あとは料理のレシピなどに記載されている「この料理は○○kcalです」という表示を参考に、

どの料理を組み合わせて食べると1000kcalを摂ることができるかを把握します。

 

料理レシピを写真付きで見ることで、目で見てどのくらいの量のおかずを食べることがいいのかがわかるのでおすすめの方法です。

 

以上が実践的な食事の量を知る方法です。

 

 

標準体重から算出する方法

 

「日本人の食事摂取基準2020年版」を使った食事の量を知る方法は、あくまで平均的なやり方です。

 

健康維持や病気の予防を目的とするならば日本人の食事摂取基準を指標にすることで十分意味があります。

 

ですが、実際には個々の状況は異なるので、必ずしも日本人の食事摂取基準が適切とは言えないケースもあります。

その場合は自分の標準体重から算出する方法も計算し、日本人の食事摂取基準と比べると良いです。

 

今の体重ではなく、標準体重から算出しますのでご注意ください。

 

標準体重については以下をご参照ください。

 

標準体重を把握したら、以下の式をもとに計算します。

 

身体活動量の数字は以下から選びます。

  • デスクワークが中心であまり運動しない・・・ 25~30
  • 立ち仕事が中心でほどよく運動する・・・30~35
  • 力仕事やハードな運動をする・・・35~

 

身体活動量は日本人の食事摂取基準でいう身体活動レベルと同じような考え方です。

 

この方法は標準体重に身体活動量という係数をかけるだけで簡単なのですが、

係数の幅が大きく一般の方には扱いにくい欠点があるので、私はおすすめしていません。

 

 

自分にあった食事の量は日本人の食事摂取基準2020年版を参考にするのが最もわかりやすいです。

 

 

(参考)管理栄養士が使う必要なエネルギー量の算出方法

 

別の方法として、管理栄養士がよく使う必要なエネルギー量の算出方法を簡単に紹介します。

 

食事量は「そのひとが何もしていなくても生きるのに必要なエネルギー量」と「運動するために必要なエネルギー量」を合わせて決定します。

 

そのひとが何もしていなくても生きるのに必要なエネルギー量を「基礎代謝量」、

運動するために必要なエネルギー量を「身体活動係数」でそれぞれ表します。

 

ただ、基礎代謝量は特定の条件下で測定する必要があり実践向きではありません。

 

よって、ハリス・ベネディクト式という概算式をよく使用します。

 

ハリス・ベネディクト式とは以下のような式です。

男性: 13.397×体重kg+4.799×身長cm−5.677×年齢+88.362

女性: 9.247×体重kg+3.098×身長cm−4.33×年齢+447.593

 

男性、女性それぞれの式に「体重」、「身長」、「年齢」を入れて算出します。

 

例えば、50歳男性 身長175cm 体重70kgならば

基礎代謝量はおよそ1,582kcalとなります。

 

この基礎代謝量に身体活動量という係数をかけることで必要なエネルギー必要量を計算できます。

 

この例の方が会社勤めで一般的な生活活動をしているならば、

基礎代謝量1582kcal × 身体活動係数1.5 = 2373kcal 

 

よって、1日に必要なエネルギー量は2373kcalとなります。

 

ただ、今回の例でも日本人の食事摂取基準2020年版とほとんど同じエネルギー量となっており、日常生活では臨床現場のような細かなエネルギー設定を必要としません。

 

なので一般的には難しい計算をしなくても日本人の食事摂取基準を指標にすると十分ですよ。

 

 

まとめ

  • 自分にとって必要な食事の量は「日本人の食事摂取基準2020年版」を参考にすると分かりやすい
  • 自分の必要な食事量から、主食から摂るエネルギー量を引いた残りを主菜、副菜で摂る。
  • 主菜、副菜の量は料理レシピを参考に実量を把握する。

 

以上自分に必要な食事の量を知る方法を紹介しました。

 

自分に合った食事の量を把握するが、健康的な食事をするための第一歩なので

できれば今回の内容はよく理解していただきたいです。

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