糖質 【独学用 管理栄養士による栄養学解説】

独学

今回は炭水化物のひとつである「糖質」についてみていきましょう。

糖質は主にご飯やパン、めん類、果物などに多く含まれる栄養素で、身体を動かすエネルギー源となる役割があります。

糖質は、糖の固まりの大きさによって一般的に「単糖類」、「二糖類(少糖類)」、「多糖類」の3つに分類されます。

 

 

糖質の分類

①単糖類・・・ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースなど

 

もっとも小さい糖の固まりを単糖類と言います。単糖類には主にブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースなどがあります。

  • ●ブドウ糖(グルコース)・・・果物やはちみつなど自然界に多く存在する糖質で、ぶどうから発見されたためブドウ糖と言われている。また身体内ではエネルギー源としてグルコースをグリコーゲンに変えて肝臓や筋肉に保存する。
  • ●果糖(フルクトース)・・・ブドウ糖と同様に果物やはちみつなど自然界に多く存在する。特に果物に多く含まれているので果糖という。甘みを最も強く感じるのは果糖。
  • ●ガラクトース・・・主に乳汁中に多く含まれる糖質で、乳幼児のエネルギー源として重要な栄養素。ブドウ糖とガラクトースがくっついて存在する。
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果物にはブドウ糖も果糖も含まれていますが、果物の特徴的な甘みは果糖によるものです。

ブドウ糖を基本に、果物の中に多いものを果糖、乳汁の中に多いものをガラクトースとおさえておきましょう。

 

 

②二糖類(少糖類)・・・ショ糖(スクロース)、麦芽糖(マルトース)、乳糖(ラクトース)

 

単糖類が2つ結合した糖の固まりを二糖類(少糖類)と言います。二糖類には主にショ糖(スクロース)、麦芽糖(マルトース)、乳糖(ラクトース)があります。

  • ●ショ糖(スクロース)・・・「ブドウ糖」+「果糖」。サトウキビや果物に多く含まれる。調味料として使用する砂糖はショ糖を指し、甘味料として広く使われている。
  • ●麦芽糖(マルトース)・・・「ブドウ糖」+「ブドウ糖」。主に麦芽に多く含まれるため麦芽糖と言われている。
  • ●乳糖(ラクトース)・・・「ブドウ糖」+「ガラクトース」。牛乳や母乳など乳の付くものに主に含まれる。
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この3つの二糖類はすべてブドウ糖と何かがくっついています。単糖類で見たように、これもブドウ糖を基本に『果物に多いからブドウ糖と果糖がくっついてショ糖』、『ブドウ糖がふたつで麦芽糖』、『牛乳や母乳に多いからブドウ糖とガラクトースがくっついて乳糖』と覚えておくと覚えやすいです。

 

(コラム)乳糖を摂るとお腹が痛くなる?乳糖不耐症

ひとによって、牛乳を飲むとお腹が痛くなる方がおられます。理由はひとつではないですが、牛乳を飲むとお腹が痛くなる原因として「乳糖不耐症」という病気があります。ひとの身体には乳糖分解酵素(ラクターゼ)というものが存在しており、乳糖を分解する機能があります。しかし中にはこの乳糖分解酵素の機能が働きにくく、乳糖が十分に分解できないことでお腹が痛くなったり下痢をしたりします。これを乳糖不耐症といいます。

 

 

③多糖類・・・デンプン、デキストリン、グリコーゲン

 

もっとも大きい糖の固まりを多糖類と言います。多糖類には主にデンプン、デキストリン、グリコーゲンなどがあります。

  • ●デンプン・・・「ブドウ糖」+・・・+「ブドウ糖」。ブドウ糖が多数つながったもの。ひとの主なエネルギー源となるもので、ごはんやパン、めんなどに多く含まれる。
  • ●デキストリン・・・デンプンを分解している途中のものを指す。デンプンを分けていくと、「デンプン」⇒「デキストリン」⇒「麦芽糖」⇒「ブドウ糖」となる。
  • ●グリコーゲン・・・デンプンと同じようにブドウ糖を多数つなげたものだが、デンプンとは形が異なる。身体のエネルギー源としていつでも使えるように、貯蔵用に形を変えたもので肝臓や筋肉に蓄積されている。
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私たちが普段食事で食べているごはんやパンなどにはデンプンが多く含まれています。このデンプンを摂ることが、『食事からエネルギー源を得る』ためのひとつの方法になります。栄養学を学習するうえでも重要な事項なのでよく抑えておきましょう。

 

(コラム①)もち米とうるち米はデンプン形が違う

デンプンはブドウ糖が多くつながった多糖類ですが、ブドウ糖のつながり方でデンプンの形が変わります。真っ直ぐつながったものをアミロース(直鎖型)と言い、枝分かれしたものをアミロペクチン(分岐鎖型)と言います。

 食品によって含まれるデンプンの形が異なり、例えばお餅などに使うもち米に含まれるデンプンの全てがアミロペクチンですが、ごはんとして食べるうるち米に含まれるデンプンは8割がアミロペクチン、残り2割がアミロースと混合しています。

 ひとえにデンプンといっても食品によってデンプンの形が変わります。特にもち米とうるち米の違いは有名なのでデンプンを理解するうえで合わせて覚えておきましょう。

 

(コラム②)冷えたごはんの方が食べても太りにくい?

 テレビ等で「ごはんは冷えているほうが食べても太りにくい」と聞いたことがありますか。これはお米に含まれるデンプンが温度によって変わるという特徴による影響です。

 デンプンは温めると腸で分解されやすくなり(α-デンプン)、反対に冷ますと腸で分解されにくくなります(β-デンプン)。この特徴から、ごはんを冷ました方が腸で分解しにくくなるので体内に吸収されにくくなり、結果的に太りにくいと考えられています。

 

 

(補足)多糖類は糖質?食物繊維?

多糖類の分類として、消化性多糖類(腸で消化しやすい多糖類)と難消化性多糖類(腸で消化しにくい多糖類)があります。消化性多糖類は糖質、難消化性多糖類は食物繊維に分類されるので、多糖類全てが糖質ではありません。注意して覚えておきましょう。

 

 

糖質の役割

 

糖質は、身体のエネルギー源となる重要な栄養素のひとつです。ひとは糖質1gで約4 kcal のエネルギーを体内で産生することができます。

糖質から作ったエネルギーは身体の機能を動かすために使われます。よって糖質を摂ることは、身体のエネルギーのもととなるものを摂ることとなり、身体は摂った糖質をエネルギーに変えて身体の機能を動かしています。

 

(コラム)

身体は3大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)から主にエネルギーを作り、そのエネルギーを複合的に使っています。一方で脳や神経組織、赤血球など、普段はブドウ糖から作ったエネルギーしか使わない組織もあります。

そのうち脳は、基礎代謝(ひとが生きる上で、身体を意図的に動かさなくても身体が必要とする最低限のエネルギー量)の20%を必要としており、糖質の役割がとても大きいことが分かります。

 

糖質を多く含む食品の例

 

以下糖質を多く含む食品を紹介します。

 

まとめ

○糖質は、糖の固まりの大きさによって一般的に「単糖類」、「二糖類(少糖類)」、「多糖類」の3つに分類される。

○糖質は、身体のエネルギー源となる重要な栄養素のひとつで、糖質1gで約4 kcal のエネルギーを体内で産生する。

 

 

以上、糖質についてみてきました。

3大栄養素である糖質の種類や役割を理解することができましたか。

 

次回は炭水化物のもうひとつである「食物繊維」をみていきましょう。

次はこちら。

目次

はじめに

基礎編

 [1]総論 それぞれの栄養素の概要を理解しましょう。

  1-1 炭水化物とは  

   1-2 糖質

   1-3 食物繊維

  2-1 たんぱく質とは

  3-1 脂質とは

  4-1 ビタミンとは

  5-1 ミネラルとは

 [2]各論 栄養を摂ったあとどのように栄養素が働くのかを理解しましょう。

応用編

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