管理栄養士国家試験の勉強は代謝学から始めました

国家試験対策
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「管理栄養士の国家試験に向けて何から勉強したらいいですか」

 

学生の方や実務経験から管理栄養士の資格取得を目指している方のなかで、

これから勉強を始めようと思っている方にはぜひ「代謝」の分野からマスターすることを強くおすすめします。

 

勉強を始めている方も「代謝」をマスターしてから他分野を勉強した方が理解が早くなると思います。

 

ここでは「代謝」から勉強すべき理由を紹介します。

 

 

管理栄養士の国家試験勉強は代謝学から始めるべき理由

①代謝を起点にすると栄養の摂取・消化吸収から排泄までの流れを理解しやすいため

 

栄養学を学んでいくと、栄養は「摂取」、「消化吸収」、「代謝」、「排泄」の4段階を通じてひとに作用することを学ぶと思います。

 

「摂取」は、栄養を経口や経鼻、経管から摂る過程や仕組みのこと

「消化吸収」は、栄養が胃腸を介して分解、経過する過程や仕組みのこと

「代謝」は、栄養素の体内利用の過程や仕組みのこと

「排泄」は、不要物等の体外排出の過程や仕組みのこと

 

大雑把にいうと上記の内容で学習していると思います。

 

ここでは「消化吸収」と「代謝」、「排泄」をあえて分けて説明していますが、本来ならばこれら3つを合わせて「代謝」との認識で問題ないです。

 

この4つの過程はお互いに関係を持ちながら調整していますので、「消化吸収」を理解するには

「代謝・排泄・摂取」の働きや相互関係性も合わせて理解する必要があり、わかりにくくなる原因となっています。

 

 

そこで、管理栄養士の勉強を始めるには「代謝」の分野から学習することをおすすめします。

理由は「代謝を起点に置くと4つの過程の関係性を理解しやすい」からです。

 

 

カルシウム代謝の一部を例に説明します。

血中カルシウム濃度の低下に伴い、副甲状腺からPTHが分泌、作用し骨吸収が促進します。

これとともに腎臓でのカルシウム再吸収を促進します(排泄への関連性)。

またPTHがビタミンDを活性化させ、腸でのカルシウム吸収が促進されます(消化吸収への関連性)。

血中カルシウム濃度低下に対応するため、食事でのカルシウム摂取量を高める栄養管理必要となります(摂取への関連性)。

 

 

実際、カルシウムはビタミンDやリンなどとも関連しますし、代謝全体を把握するには腸からのカルシウム、リン吸収や、骨リモデリング、それに神経伝達や筋委縮等のカルシウムの作用も含めて理解する必要があります。

 

しかし、この体内でのカルシウムの流れを代謝として理解しておくと、

「低カルシウム血症=副甲状腺からPTH促進」

といったように1対1で覚える必要がなくなります。

 

というより、代謝は様々な機構が相互作用し合ってできていますので、もともと1対1で覚える方が良くないです。そのような勉強の仕方をしている方は見直した方がいいと思います。

 

そもそも「低カルシウム血症=副甲状腺からPTH促進」は正しいとは言えないです。

「血中カルシウム濃度の低下を受けて副甲状腺からPTHが分泌された結果、PTH濃度が高まり作用が促進され、血中カルシウム濃度が高まる」

のほうがまだ正しいと思います。これでもかなり薄いですが。

「 低カルシウム血症=副甲状腺からPTH促進 」だとPTHが分泌した結果低カルシウム血症が起きると誤って認識する恐れもあります。

 

代謝を勉強する際は、「『何が』体内で起きたので『これらが』作用して、結果恒常性を維持した」の流れを意識しましょう。

 

ポイントは(健常者では)「恒常性を維持するために代謝が動く」ことです。あるきっかけで恒常性が崩れたので代謝としていろいろ作用し結果基に戻した、という代謝の基本の流れをまずは各栄養素ごとに勉強しましょう。

 

1対1ではなく、代謝全体からの試験でどのように問われても、問題文に影響されず回答することができます。

 

 

②代謝をマスターしていないと「応用栄養学」、「臨床栄養学」が理解できないため

 

代謝を勉強する際は「『何が』体内で起きたので『これらが』作用して、結果恒常性を維持した」の一連を意識したほうがいいと言いましたが、

 

『何が』の部分には原因がありますので、

応用栄養学や臨床栄養学を勉強するときには代謝の一連にプラスし、

 

『どんなひとが』、『どういう原因で』、『何が』 体内で起きたので『これらが』作用して、恒常性を維持しようとした」

 

ここまでの流れをまとめて勉強しておくと、その方にあった栄養管理の考え方の基礎が身に付きますので、

応用栄養学や臨床栄養学で「たんぱく質を少し制限する」などの栄養学的意図が理解しやすいです。

 

例を挙げると、糖尿病でインスリン分泌能が低下している方の場合、

『糖尿病を患う方』が、『インスリン抵抗性が高まっているため』、『血糖値上昇』が体内で起きたので、『過度なインスリン分泌』が作用して、血糖値安定という恒常性を維持しようとした。

 

こんな感じです。この流れを把握していると、「糖尿病の長期罹患はインスリンの枯渇を引き起こす恐れがある」などの問題を理解できると思います。

 

また、この方の栄養管理としては、「インスリン抵抗性を生じている肥満細胞の増殖を抑える」ことと「過度なインスリン分泌を抑える」ことが血糖コントロールに有効であるため、

「適切なエネルギー量摂取、過度な糖質の摂取を控える」ことを方針とします。

 

このように「糖尿病の方=エネルギー調整」と1対1で覚えると理解が難しい「インスリン抵抗性」、「インスリンの枯渇」、「肥満細胞」といったワードも合わせて把握することができます。

 

国家試験はもとより、実際の栄養管理の現場でも代謝の流れを理解しておくことが重要ですので、今から代謝の流れを勉強することをすすめます。

 

また、栄養は「ひと」があってはじめて栄養なので、『どんなひとが』は必ず合わせて理解しましょう。

 

ちなみに、ちょっと代謝の意識と違うのは、「結果恒常性を維持した」のところが応用栄養学や臨床栄養学では「恒常性を維持しようとした」になっています。

これは原因疾患や病態などの状況によって恒常性が改善されない場合も多いので「(身体として)維持しようとした」にしています。

 

 

 

以上、管理栄養士の国家試験勉強は代謝学から始めるべき理由を紹介しました。

国家試験は緊張するし問題も難しいですが、ひとつひとつ勉強することで必ず栄養学のプロに近づきます。

 

私たちのサイトでも国家試験対策の記事を随時公開していますので、勉強の助けになると幸いです。

 

無理なく体調に気をつけてくださいね。

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