第36回 管理栄養士国家試験
14 介護保険制度に関する記述である。最も適当なのはどれか。 1 つ選べ。
(1) 「要介護 2 」は、予防給付の対象となる。
(2) 利用者が自らの意思に基づいて、利用するサービスを選択し決定することができる。
(3) 要介護認定は、介護支援専門員が行う。
(4) 施設サービスは、予防給付により行われる。
(5) 通所介護(デイサービス)は、施設サービスに含まれる。
正解 (2)
解説:介護保険制度は「利用者(介護サービスを受ける者)が自らの意思で、介護サービスを選択する」という基本原則があります。これは実際の介護現場においてもとても重要視されている代表的な原則とも言えます。
介護保険は大きく言うと、介護サービスを提供する側が、サービス費用として介護報酬を受け取る仕組みです。介護報酬の元は国民が支払う介護保険料です。例えばある介護施設で、介護される方が望まない介護サービスを提供し介護報酬を受け取っているとしたら、適切に介護保険料が使われているとは言えないですね。
介護も医療サービスと同様に、利用者の尊厳を重んじ、利用者が望む介護を提供する仕組みとすることが非常に重要です。
ちなみに、「利用者」という言葉は、そのまま「被介護者」「介護される方」など介護サービスを受ける者に置き換えるとよりわかりやすいです。
×(1) 「要介護 2 」は、予防給付の対象となる。
→「要介護2」は、介護給付の対象となる。
予防給付は「要支援1」および「要支援2」が対象です。介護”予防”を”支援”するで覚えましょう。
また、「要介護」は介護給付です。
介護の必要性は、要支援1<要支援2<要介護1<要介護2<要介護3<要介護4<要介護5の順で大きくなります。
×(3) 要介護認定は、介護支援専門員が行う。
→要介護認定は介護認定審査会が行う。
要介護認定とは、ある方の介護の必要性に関する情報から、その方の介護度を決定することです。要介護認定は、「介護認定審査会」のメンバーが決定します。介護認定審査会は各市町村(介護保険の保険者)に設置され、定期的に審査会が行われています。
また、介護支援専門員の立ち位置としては、要介護認定のための情報を収集し提出する、認定後介護サービスを見直し利用者に提案する、などです。介護支援専門員は、あくまでも利用者の介護サービスを管理する役割であり、自らが管理する利用者の介護度を決定することはできません。
×(4) 施設サービスは、予防給付により行われる。
→施設サービスは、介護給付により行われる。
施設サービスは「要介護1〜5」の方が対象となります。そのため「要介護=介護給付」が行われます。
また、そもそも施設サービスの利用する方は、「介護施設のような介護環境が整備されたところでの介護サービスを必要とする」側面があります。その背景から予防給付ではなく、介護の必要性が大きい「介護給付」が行われる覚えてもいいでしょう。
×(5) 通所介護(デイサービス)は、施設サービスに含まれる。
→通所介護(デイサービス)は、在宅サービス(または居宅サービス)に含まれる。
介護サービスは「在宅(居宅)サービス」と「施設サービス」の2種類があります。
デイサービスとは、利用者が介護施設に”通って”介護サービスを受けるものです。
よく、在宅サービスは利用者が住んでいる”自宅”で受けるサービスを指し、施設サービスは”介護施設”で受けるサービスを指すと解説されます。ここまで聞くと、利用者が”施設に通っている”ため”施設内でサービス”を受けていると捉え、施設サービスではと悩んでしまいます。
在宅サービスと施設サービスの違いを正確に捉えるには、利用者が普段どこで生活しているかがどこかに着目します。
在宅サービス:普段”自宅”で生活している者を対象とする介護サービス
施設サービス:普段”介護施設”で生活している者を対象とする介護サービス
デイサービスは、普段自宅で生活する方が、介護施設に通って介護サービスを受けるため、普段自宅で生活している=在宅サービスとなります。
”在宅”や”施設”と言う言葉は、サービスを受ける場所ではなくて、サービスを受ける者の生活拠点を指していると思えておきましょう。