タンパク質の構造 【独学用 管理栄養士による栄養学解説】

独学

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タンパク質とはアミノ酸が結合している集合体で、身体にとって欠かせない物質です。

そのタンパク質はアミノ酸の組み合わせによって形が変わり、身体内の役割も異なっています。

 

タンパク質は一次構造から四次構造まで4つの構造に分けられます。

この構造を理解しておくことで、タンパク質がどのように身体内で合成されるのか、また機能するのかを学ぶ基礎になります。

 

ここではタンパク質の基本の構造について、そしてどのように身体内で作られるのかについて解説します。

 

タンパク質の種類

 

まずタンパク質の構造を見る前に、身体にはどのようなタンパク質があるのかを紹介します。

身体内で働くタンパク質の種類には主に以下のようなものがあります。

  • 身体の細胞骨格となる
  • 筋肉の収縮機構を担う(アクチン、ミオシン)
  • 血管を通じて酸素を運む(ヘモグロビン)
  • 免疫機構としてウイルスなどから身体を防御する
  • 酵素となり、生体分子の合成と分解を担う
  • 受容体として組織間の信号を受け取り応答する
  • 遺伝子の複製・転写に関与する

これらは強固な構造をしたタンパク質が重要な働きを担っています。

ではそのような種類のあるタンパク質はどのような構造をしているのでしょうか。

  

 

タンパク質はポリペプチドが立体的に折りたたまれたもの

 

タンパク質はアミノ酸の集合体であると表現されますが、

もう少し細部まで解説すると、タンパク質はアミノ酸が連なった鎖を立体的に折りたたむようにした構造です。

アミノ酸が連結したものをポリペプチドと言い、タンパク質はそのポリペプチドが立体的に何度も折りたたまれて形作られています

 

タンパク質は種類によりいろいろな形をしています。

例えば、身体の構造を司る役目のタンパク質は長く伸びたような形をしています。

また身体の代謝の働きを制御するタンパク質である「酵素」は、主に球状の形をしています。

 

 

タンパク質が合成される過程

 

では具体的にタンパク質がどのように身体内で合成されるか、タンパク質合成の過程を紹介します。

 

身体内で合成されるタンパク質は、食事によって得たアミノ酸を材料とします。また他のタンパク質を分解しアミノ酸を別のタンパク質の材料として再利用します。

以下、タンパク質の合成からアミノ酸が再利用されるまでの過程をみてみましょう。

①ポリペプチドの生成(一次構造の形成)細胞内にあるmRNAを基にリボソームでアミノ酸が組み合わされてポリペプチドが合成される。
mRNA:メッセンジャーRNAというRNAのひとつ。RNAとはDNA(ひとそれぞれの遺伝子情報が配列されたもの)を基に遺伝子の配列をコピーしたもので、このmRNAの情報に沿ってアミノ酸が組み合わされてタンパク質が合成される(「翻訳」と呼ばれる)。よってmRNAは合成したいタンパク質の設計図の役割を担っている。
リボソーム:細胞の中にあり、mRNAの情報を基にアミノ酸を組み合わせていく働きがある物質。
②ポリペプチドの折りたたみ(フォールディング)生成されたポリペプチドが折りたたまれて立体的な形になる。
このとき、ポリペプチドの一部が取り除かれたり、新たに結合されたりといったポリペプチドの調整が行われるときもある。
③ポリペプチドの修飾ポリペプチドに脂肪酸分子が結合し修飾される。
④修飾ポリペプチドの移動と利用修飾されたポリペプチドが細胞膜へと移動し身体に利用される。
⑤欠損ポリペプチドの標識化タンパク質は身体に利用されていくと、タンパク質が老化していき、やがてアミノ酸の配列が欠損してしまいポリペプチドの形が崩れることで役割を果たせなくなる。
欠損したポリペプチドはユビキチンという物質が結合し欠損ポリペプチドとして標識化される。
⑥欠損ポリペプチドの分解とアミノ酸の再利用標識化(ユビキチン化)されたポリペプチドはアミノ酸まで細かく分解される。分解されたアミノ酸は新たなタンパク質合成に再利用される。

 

以上をまとめると、

タンパク質は細胞の中で、mRNAを設計図にリボソームによってアミノ酸が組み合わせされて生成(翻訳)されます。

その後ポリペプチドの一部が修飾を受けて精製され、タンパク質として身体で利用されます。

そして、身体で利用されたタンパク質は老化していき役割を果たせなくなると、アミノ酸にまで分解されて新しいタンパク質に生まれ変わります。

 

 

タンパク質はペプチド結合で連結している

 

タンパク質は先ほど示したようにポリペプチドが折りたたまれた構造をしていますが、

ポリペプチドの折りたたむ形によって三次元的な構造が変わることで、タンパク質の様々な役割を果たしています。

 

つまり、タンパク質が身体に有用に働くためには、タンパク質構成するポリペプチドが強い結合で固まり崩れにくい構造であることが重要です。

その強い構造を生み出すのは、アミノ酸同士の結合であるペプチド結合です。

ポリペプチドを構成するアミノ酸はお互いがペプチド結合で連結しているだけでなく、ポリペプチド同士もペプチド結合で連結しています。

 

よって、タンパク質はペプチド結合という共通の結合で連結し、ポリペプチド骨格という強い骨格を合成しています。

また、アミノ酸同士は構造によってペプチド結合の他にも様々な種類の結合をしており物理的にも頑丈な構造を呈しています。

 

 

タンパク質の構造の種類

 

ここまでタンパク質の構造について、

「タンパク質はアミノ酸が連結したポリペプチドが折りたたまれてできていること」、

そして「タンパク質はアミノ酸同士が結合し強い構造を形成していること」といった基本について見てきました。

以上を踏まえたうえで、タンパク質の構造の種類について解説します。

 

タンパク質には、「一次構造」から「四次構造」までの4つの構造があります。

 

一次構造

タンパク質の「一次構造」はポリペプチドそのものを指します。

アミノ酸が多数ペプチド結合してできた集合体をポリペプチドと呼び、

そのポリペプチドをタンパク質の一次構造としています。

 

二次構造

ポリペプチドが部分的に折りたたまれた構造を「二次構造」と言います。

ポリペプチドが短い間隔で規則的に折りたためられて、αヘリックスと呼ばれる螺旋構造と、βシートと呼ばれるシート状の構造が作られます。

このとき、αヘリックスも、βシートもアミノ酸同士の結合がペプチド結合だけでなく水素結合という規則的な結合をすることで強固な構造ができます。

 

三次構造

二次構造であるαヘリックスやβシートが複数組み合わさり、よりポリペプチドが折りたたまれて立体的な構造となったものを「三次構造」と呼びます。

三次構造では、アミノ酸同士の結合が疎水結合、ジスルフィド結合、イオン結合といったさまざまな結合をすることで崩れにくい立体構造を形成します。

また、三次構造となるタンパク質をひとつの塊とし、サブユニットという単位で表します。

 

四次構造

サブユニットが2つ以上組み合わされた構造を「四次構造」と呼びます。

サブユニット間でも水素結合等で連結しするなどして安定した構造をしています。

 

 

タンパク質の形は変形する

 

タンパク質はその働きによって形が異なります。

身体の細胞骨格となるタンパク質は、その部位ごとに適した形となる必要がありますし、

免疫機構として働くタンパク質はそのウイルスに合った防御体制となる必要があります。

 

そのように各機能に合ったタンパク質の形になるためには、

タンパク質を構成するポリペプチドは生成後に折りたたまれたり広がったりと何度も形を変える特徴があり、

また、身体内ではポリペプチドを簡単に分解することはなく、変性して崩れたタンパク質は再度修繕されてます。

 

この特性から、一度タンパク質の構造が壊れても修復し役割を継続することができるため、

この柔軟さと強固さを持つタンパク質だからこそ多くの機能を担うことができます。

 

 

まとめ

◦タンパク質はポリペプチドが立体的に折りたたんだもの

◦タンパク質は一次構造から四次構造まである

◦タンパク質の形は変形する

 

 

以上、タンパク質の構造について解説しました。

 

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