高齢者は食事量の減少等により、たんぱく質が不足しがちです。たんぱく質は3大栄養素のひとつであり、筋肉や骨、血液等、体をつくる役割を担っています。
特に高齢者にとってたんぱく質の不足は、低栄養やフレイルを引き起こす原因となります。不足しないようにしっかりとたんぱく質を摂取して、健康を維持していきましょう。
でも栄養補助食品は種類が豊富で、どれを選んだらいいのかわからない・・・という方もいるのではないでしょうか。
ここでは、管理栄養士がおすすめする高齢者向けの栄養補助食品を「ドリンクタイプ」、「ゼリータイプ」、「粉タイプ」ごとに紹介します。
高齢者向けのたんぱく質補給食品
ドリンクタイプ
飲み込みに問題ない方向けの、飲むだけで栄養を補給できるおすすめの栄養補助食品です。
①ブイ・クレスCP10 ニュートリー(株) たんぱく質11.0g/本
1番おすすめの栄養補助食品はブイ・クレスCP10です。
ブイ・クレスCP10はコラーゲンペプチドが入ったドリンクタイプの栄養補助食品です。コラーゲンペプチドはたんぱく質のひとつであるコラーゲンを、細かく吸収しやすい形にしたものです。消化吸収機能が低下している方にもおすすめです。
コラーゲンは皮膚組織を形成する役割などがあり、コラーゲンペプチドには、褥瘡や皮膚裂傷の予防や治療に効果があると言われています。
ミックスフルーツ味は「褥瘡を有する方の食事療法として使用できる食品です。」との表示許可を取得した、個別評価型病者用食品です。
また、ブイ・クレスCP10はビタミン・ミネラルも多く入っているので、なんとこれ1個でたんぱく質だけでなく、12種類のビタミンと鉄や亜鉛などのミネラルの補給もできますよ。
味はミックスフルーツとルビーオレンジの2種類あり、おいしく飲めるのでとてもおすすめです。
ただし、エネルギー量1本あたり80kcalと多くないので、食事がほとんど摂れていない場合などは、他のエネルギーを補給できる栄養補助食品と合わせて使うとよりいいでしょう。
補足として、同じニュートリー(株)が販売しているブイ・クレス(BIOシリーズを含む)にはあまりたんぱく質が入っていないので、たんぱく質補給の目的で使用する場合には、「ブイ・クレスCP10」をおすすめします。
ブイ・クレスCP10にはゼリータイプもあるので、後ほど紹介します。
②プロキュアZ 日清オイリオグループ(株) たんぱく質10.0g/本
プロキュアZは、パック型の栄養補助食品のなかでたんぱく質が多く含まれる食品として有名です。
1個で200kcal補給することができるうえに、たんぱく質を10g摂ることができます。
また、プロキュアZには中鎖脂肪酸という脂質が使われている特徴があります。
中鎖脂肪酸は水に溶けやすいため吸収率が高い上に、吸収後は速やかに分解されます。そのため、脂肪として身体に溜まりにくくエネルギーとして使われやすい脂質です。
たんぱく質を多く摂れるだけではなく、中鎖脂肪酸が含まれているのでエネルギーになりやすいという食品としておすすめです。
③メイバランスMini (株)明治 たんぱく質7.5g/本
メイバランスMiniは栄養補助食品の代名詞ともいえるほど流通している食品で、ドラッグストアにも広く展開されています。
1個で200kcal、たんぱく質7.5gと少量高エネルギー、高たんぱく質食品でありながら、味のバランスがよく、くせがないので、栄養補助食品が初めての方にも親しみやすい食品です。
カップ型のメイバランスMiniカップは、持ちやすく、より飲みやすいように工夫されています。
栄養補助食品は何を選んだらいいかわからない方は、初めにメイバランスMiniを選ぶといいですよ。
ゼリータイプ
嚥下機能が低下している方には、ゼリータイプがおすすめです。
①リハたいむゼリー (株)クリニコ たんぱく質10.0g/個
リハたいむゼリーの特徴は、1パックで10gのたんぱく質を補給できながら、たんぱく質独特の粉っぽい風味を感じにくい、あっさりした味で飲みやすいことです。
病院などでリハビリ後に使用されている食品ですが、ご家庭でも食事で不足するたんぱく質を補給するために摂取をすすめられています。
もともと、リハビリの方に合わせた食品なので、たんぱく質に加えて筋肉量の維持に有効とされるビタミンDも含んでいます。
ただエネルギー量が100kcalと多くありません。食事がほとんど摂れない方にとっては、1日1個では不足するエネルギー量を補給しきれないので、他の食品と組み合わせるなど複数摂るようにしてください。
パウチタイプですので、誤嚥を防ぐためには一度お皿に出してスプーンで食べることをおすすめします。
②ブイクレスCP10ゼリー ニュートリー(株) たんぱく質12.0g/個
ドリンクタイプで紹介したブイ・クレスCP10のゼリータイプです。
中身はほとんど変わらないのでビタミン・ミネラルも補給できるうえに、たんぱく質はドリンクタイプより少し多く摂ることができます。
味もドリンクタイプと変わらない上品さがあり、誤嚥が気になる方もそのまま食べられるように硬さが調整されているので安心して食べられます。
食事が摂りにくく栄養補助食品を多く使う場合は、ビタミン、ミネラルが不足する恐れがあるので、ブイ・クレスCP10を合わせて食べるようにして、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを確保するようにぜひ使用してみてください。
③やさしくラクケア 和風プリン ハウス食品 たんぱく質5.1g/個
やさしくラクケア和風プリンは4種類の味が展開されています。
1個当たりのたんぱく質量は5.1gなので特別多いわけではないですが、おすすめする理由は、デザート感覚でおいしく食べられる点です。
ゼリータイプの栄養補助食品は果物のフレーバーを使っているものが多いですが、こちらは高齢の方でも食べられるように味にこだわっています。
好みの味があれば、一度試してみてはいかがでしょうか。
粉タイプ
おかゆや汁物などに混ぜるだけでたんぱく質を補給できる粉タイプの栄養補助食品です。
粉タイプのものを混ぜるととろみが加わるものもあります。誤嚥予防にとりみ剤を使用している方は、とろみ剤を加える前に料理に混ぜて、料理の固さを確認してください。
①メイプロテイン (株)明治
メイプロテインは栄養補助食品のメイバランスMiniでも紹介した(株)明治が提供する粉タイプのたんぱく質補給食品です。
料理に混ぜることで、たんぱく質はもちろん、亜鉛や鉄なども補給することができます。
個包装になっているものと大袋のものがあり、大袋タイプは量が調整できて便利です。
個包装タイプは1包当たりたんぱく質が5g含まれるため、使用量をきっちりと計りたい場合には個包装タイプが便利でしょう。また、使用頻度が少ない場合でも保存しやすいので安心です。
②エンジョイプロテインFeZ クリニコ(株)
エンジョイシリーズは病院や介護施設などでよく使用されるクリニコ(株)の栄養補助食品ですが、粉タイプの栄養補助食品がこのエンジョイプロテインFeZです。
エンジョイプロテインとエンジョイプロテインFeZがありますが、不足しがちな鉄(Fe)と褥瘡に有効といわれる亜鉛(Z)が強化されているエンジョイプロテインFeZの方がおすすめです。
メイプロテインとあまり差はないので、価格や好みに合わせて選んで大丈夫です。
以上、たんぱく質を補給できる栄養補助食品について紹介しました。
ぜひこの記事を参考にしていただき、ご自身やご家族に合ったものを選んでみてください。