【管理栄養士より】高血圧と言われた?血圧を下げる食事を紹介します

セルフマネジメント

病院に受診したときや会社の健康診断のときなどに「血圧が高いです」と言われたことがありませんか。

高血圧は血管の圧力が高まっておりストレスがかかっている状態であり、血管に関わる病気(動脈瘤や脳梗塞など)のリスクを高めてしまう恐れがあり、早期に治療することが重要です。

また、高血圧は普段の食事が原因となる場合もあります。

そのため普段の食事を変えることで高血圧を改善することも可能です。

 

ここでは高血圧を指摘された方向けに、血圧を下げる食事内容を紹介します。

 

 

高血圧の原因は「食塩とエネルギーの摂り過ぎ」

 

血圧が高くなる原因は様々ですが、普段の食事が高血圧を招いていることがあります。

その食事による高血圧の原因は、

  • 食塩の摂取量が多い
  • 摂取エネルギー量が多い(肥満やメタボの原因)

が挙げられます。

 

食塩を摂ると血圧が高くなることは多くの研究で明らかとなっていますが、詳細はまだ断定されていません。

そのなかで食塩に含まれるナトリウムという栄養素が血圧を高める可能性が示唆されています。

ナトリウムという栄養素はミネラルのひとつで、ナトリウムを多く摂りすぎると血液の濃度を高めるため、血管内の血液の量が多くなり、多くなった血液が血管を圧迫することで血圧を上昇させると考えられています。

よって塩や醤油などの味付けが濃かったり、加工食品を多く食べていたりと、普段から食塩を多く摂ると高血圧を引き起こすと言われています。

 

また、肥満やメタボリックシンドロームといったように、内臓脂肪が身体に溜まることで高血圧を引き起こします。

これは、脂肪が多く溜まることで、血圧の調整を担う腎臓を圧迫し血圧の調整が機能しにくくなったり、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系という血圧を高める機構や交感神経を刺激し血圧を上昇されるためと言われています。

よって普段から食べ過ぎることで脂肪が溜まり、肥満となると血圧が高まりやすくなります

 

 

高血圧を改善する食事のポイント

 

普段の食事が高血圧の原因となってしまいますが、反対に言えば普段の食事を見直すことで高血圧に改善することができます。

 

高血圧を改善する食事のポイントは2つで、

  • ①ナトリウムを減らしカリウムを多く摂る
  • ②適正の食事量(エネルギー量)を守る

です。

ポイントを詳しく見てみましょう。

 

①ナトリウムを減らしカリウムを多く摂る

ナトリウムは上記の通り血圧を上げる作用のあるミネラルですので、食塩の摂る量を減らすことでナトリウムの摂取量を少なくすることが有効です。

一方で、栄養素の中には血圧を下げる作用のあるものもあります。その代表的な栄養素がカリウムです。

カリウムは身体内の尿の排泄を促すことで、排尿の時にナトリウムも体外に排出し血圧を下げる作用があります。

他の血圧を下げる作用のある栄養素には、マグネシウムカルシウムがあります。これらの血圧を下げる作用のある栄養素を多く摂ることで高血圧を改善することができます。

ナトリウムを減らす食事やカリウムなどを多く摂る食事の具体的な内容は下記を参照ください。

(注意)腎臓病の方へ

腎臓病の治療をしており、医師や管理栄養士などからカリウムの摂取を制限するよう指示されている方は、必ず指示に従いカリウムの摂取を控えてください。

この場合、カリウムを摂ることによる降圧効果よりも腎臓への負担が増えることによる病状悪化リスクの方が大きいです。

必ず医師や管理栄養士などの指示に従ってください。

②適正の食事量(エネルギー量)を守る

肥満の原因のひとつとして、必要な食事量以上に食事をしていることが挙げられます。

この必要な食事量というのは、生活する上で身体を動かしたり、呼吸や心臓を動かすといった意識しなくても行なっていたりするような、

いわば生命を維持するために必要なエネルギーの量を指します。

もちろん、ひとは生きていくために食事からエネルギーを摂らないといけません。

しかし、活動するのに必要なエネルギー量よりも多く食事を摂ると、身体は使わなかったエネルギーを主に脂肪として貯蓄するため、結果として肥満となります。

肥満を改善するためには、運動習慣を付けて活動に必要なエネルギー量を上げ食事で得たエネルギーを都度使い切るようにするか、

もしくは食事の量を本当に必要な量に見直して余剰なエネルギーを摂らないようにすることが有効です。

ここでは食事について解説しているので、自分に本当に必要な食事量がどのくらいかチェックし、自分の食事を必要な量に調整してみてください。

本当に必要な食事量はこちらからチェックできます。

高血圧には「減塩とDASH食」が有効

血圧を下げるにはナトリウムの摂る量を減らして、カリウムの摂る量を増やす食事がいいと述べましたが、

それを普段の食事から実践できるのが「減塩」と「DASH食」です。

減塩とは、言葉の通り食塩を減らすことで、ナトリウムの摂る量を減らします。

DASH食とは、血圧を下げる栄養素に特化した食事のことで、カリウムなどの栄養素を多く摂ることができます。

高血圧の改善には、これら2つの食事を組み合わせた「減塩とDASH食」が有効であることが報告されています。

減塩の方法で味付けしたDASH食を摂ることで、ナトリウムの摂取量を減らしながらカリウムなどの摂取量を増やすことができます。

またDASH食は余分な脂質を抑える食事の方法ですので、肥満の改善からより血圧の改善を図ることができます。

実際の減塩方法やDASH食の詳細は以下にまとめていますのでそちらをご参考いただければと思いますが、

どれも普段の食事を大きく変えるものではなくちょっとした工夫でできる内容ですので、血圧が気になる方はぜひ実践してみてください。

 

おすすめの減塩方法はこちらから

高齢の方向けの減塩はこちらから

DASH食の内容はこちらから

 

 

高血圧の原因は食事だけではない

 

高血圧と一言に言っても、「本態性高血圧症」や腎性高血圧症、内分泌性高血圧症といった「二次性高血圧症」などがあり、高血圧になる原因は様々です。

ほとんどの高血圧が遺伝や食事などの環境が原因となる本態性高血圧症と言われるもので、食事の改善が有効なケースが多いですが、

二次性高血圧は、血圧が高くなる原因が他の病気にあるため、そもそもの病気を治療することが高血圧の改善に重要となります。

 

また、本態性高血圧症の方でも、減塩で必ず血圧が下がるわけではなく、個々の体質や高血圧の原因によって減塩の効果は左右されることが分かっています。

つまり高血圧だからといって極端な食事制限や無理なダイエットはかえって健康を害することもあるのでおすすめしません。

増して高齢の方は誤った減塩の方法で低栄養を招く恐れもあります。

 

なので自分の病気を総合的にみたとき、血圧の改善に減塩など食事を見直すことが有効なのか、一度医師に確認しておきましょう。

 

 

まとめ

○高血圧の原因は「食塩とエネルギーの摂り過ぎ」

○高血圧を改善には「減塩とDASH食」の組み合わせが有効

○高血圧の原因は食事の乱れだけではない

 

 

以上は高血圧を指摘された方向けに、血圧を下げる食事内容を紹介しました。

繰り返しますが、高血圧は動脈や梗塞など命の危険を伴う病気のリスクを高めてしまいます。

このページが高血圧の改善に繋がれば幸いです。

 

<参考>

高血圧治療ガイドライン2019

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