【管理栄養士より】認知症の方が食べてくれない?管理栄養士が実践している食事支援方法

高齢者の食事

「母親が食事を摂らなくなってきました。どうしたら食べてもらえますか」

「私の作った料理に興味がないのか、料理を運んでも気にしてくれません。ごはんを食べてくれなくなったのでしょうか。」

  

年齢を重ねるほど食べられる量は少しずつ減ってきます。噛む力や飲み込む力も衰えていき、体力も少しずつ落ちてきますので、ある意味で自然の流れとも言えます。

一方で、認知症の方はそもそも食事を認知することが難しくなったり、お腹が空くことを感じにくくなったりと、食事に関心がないようなことがあります。

食べられなくなると体力の衰えが顕著になりやすいですし、このことが引き金となって予後が悪くなることもあるので早めに支援の方法を見直すことが大切です。

ここでは現役管理栄養士が介護現場で実践している認知症の方への食事支援の方法を紹介しています。

このページが何かのきっかけとなり、少しでも食事を摂ってもらえるようになれば幸いです。

 

 

①食事を摂ってもらえない原因を探る

 

一言で認知症といっても、ひとによって症状は様々です。

同じように食事を摂れない原因も様々ですし、原因によって支援の方法も変わります。

まずは食事を摂ってもらう方がどのような原因で食事が摂れないのかを精査します。

以下の項目をみながら、どのようなことが原因で食事が摂れないのかを探ってみてください。

 

また、日によって高齢の方の様子も変わってきますので、毎回同じ支援の方法で良いとも言えません。

食べられないときは都度この項目で精査してみてください。

 

場面別 食事を摂ってもらえない原因

まずは食事を配膳したときに高齢の方にどのような様子が見えるかをみてみましょう。

場所はテーブルの席でも、ベッドサイドでも構いません。

食事を配膳し「ご飯ができました」とお声かけしたときに、食事を見たり関心を持ったりしますか。

 

次に、箸やスプーンを持つことができる場合は、箸かスプーンを持ってもらいましょう。そのときスプーンで食べ物をすくってからスプーンを渡してみたり、箸やスプーンを持ってもらった手を支えながらお皿に誘導したりして、食事のはじめを介助してみてください。

そのまま継続して食べようとする様子がありますか。

 

次は実際に食事を摂っているときや、介助しているときの様子を見てみましょう。

食事が進まなくなったときの様子はどうですか。

 

以上は一例ですが、意志をもって食事を拒否しているか、食べる意欲はあるものの食べること自体を忘れているか、どちらが食事を摂れない原因なのかを探ってみてください。

 

 

(注意)調理の仕方で食べやすくなることもあります

例えば、食事を吐き出したり、肉料理だけ食べてもらえなかったりなどで困っていませんか。

特に青菜など繊維質な食品は口の中に残りやすく、残ったものが気になって食事が進まないこともあります。

なにか特定のものだけ食べられない場合は、食材を小さく切ったり、味付けを調整したり、調理の工夫でも食事を摂ってもらえることもありますので試してみてください。

 

 

②原因別 食事支援の方法の目次

 

食事が摂れない原因を探ったら、次は実際に食事支援の方法を解説します。

このページは目次としています。以下詳細に解説していますのでご参考ください。

 

(1)食事を拒否する認知症の方へ

 

(2)食事をしない、食事を忘れる認知症の方へ

 

食事が摂れない原因はいろいろな要因が複数関係している場合も多いです。

できればどちらのページもご覧いただき、その時その時に合った支援方法を試してみてください。

 

 

③管理栄養士からのアドバイス

 

実際の介護現場でも、食事が摂れなくて支援を必要とする高齢の方がとても多いです。

管理栄養士が栄養価を計算して献立を作り、食べ物の形や軟らかさを調整しむせないように工夫して料理を提供しても、実際には食べる方の意思が食事を摂りたいという気持ちではないと、食事を摂っていただくことはできません。

 

私たち管理栄養士は、単に「食べる」ことができるか「食べない」かだけで判断することはしていません。

「食べる」ことができても必要な栄養量を摂ることができなければ適切な栄養管理とは言えませんし、

「食べない」ことが3日に1回程度で、他の食事を十分に摂っているならば、その食事を摂らなくてもおよそ必要な栄養量が確保できていると判断し、慌てて食べるように勧めることもありません。

また、食事を摂る場の環境がいつもと違うことで食事に気が向かなかったり、眠たいなど食事以外の要因で食欲が無くなったりと、様々なことが食欲に影響します。

 

つまり、食事が摂れないときは食事のみに注目せず、広い視点でいろいろなことを高齢の方の様子に合わせて支援することがとても重要です。

 

あなたができることから支援をしていき、結果的に少しでも食事が摂れるようになれば、それが高齢の方にとって最適な支援の方法です。

なにより、食事が摂れないことをストレスに感じる必要はありません。とは言ってもストレスに感じてしまうことも良くわかります。

ただ、支援する側の思いは高齢の方によく伝わります。このページをご覧いただいてなにかを学びたいと思っていることが、本当に大きな食事支援のひとつです。

あなたができることを実践するきっかけになり、食事をひと口でも多く摂れるようになればと願っています。

 

 

まとめ

○食事を摂ってもらえない原因を探る

○原因に合わせた食事支援の方法を実践する

○食事に限らず広い視点で支援する

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