「離乳食の栄養バランスはいつから考えたらいい?」「離乳食を食べる量も増えてきたので、栄養バランスが心配」「バランスの取れた献立はどのように考える?」「どんな栄養を摂ったらいい?」など悩んでいる方はいませんか。授乳の回数も減り、だんだんと大人の食事に近づくと、栄養バランスが気になりますよね。この記事では 離乳食の栄養はいつから意識するのか、栄養バランスの取れた献立はどのように立てるのか、意識して摂りたい栄養素などをご紹介します。
離乳食の栄養は3つの栄養素
離乳食の栄養は3つの栄養素を基本に考えます。1つ目は体や脳を動かすエネルギー源となる炭水化物、2つ目は筋肉や血液をつくるたんぱく質、3つ目は体の調子を整えるビタミン・ミネラルです。それぞれが異なる役割を持ち、互いに助け合って働きます。どれも赤ちゃんの成長には欠かせない栄養素で、バランスよく摂ることが大切です。
炭水化物
ご飯、パン、めん類、いも類など糖質を多く含む食品を『炭水化物』に分類します。炭水化物は糖質と食物繊維の総称ですが、離乳食の解説で出てくる炭水化物という言葉のほとんどは「糖質」を指します。内臓、脳、体のすべてを動かすエネルギー源です。献立では主食になる栄養素です。
たんぱく質
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などたんぱく質を多く含む食品を『たんぱく質』に分類します。筋肉や骨、血液など体をつくる材料となり、免疫力を高める働きもします。献立では主菜になる栄養素です。
ビタミン・ミネラル
野菜、果物、きのこ類、海藻類などビタミン・ミネラルを多く含む食品を『ビタミン・ミネラル』に分類します。健康維持のために体の調子を整えたり、他の栄養素の代謝をサポートしたりします。献立では副菜になる栄養素です。
栄養バランスの取れた献立の立て方
「栄養バランスのとれた献立」というと難しそうに聞こえるかもしれませんが、基本の考え方はシンプルです。献立を立てる時のポイントは次の2点です。
① 3つの栄養素を組み合わせる
献立は主食+主菜+副菜(汁物)の組み合わせが基本の形です。炭水化物、たんぱく質、ビタミン・ミネラル源となる食品をそれぞれ1つ以上選んで組み合わせましょう。これだけで、炭水化物を含む「主食」、たんぱく質を含む「主菜」、ビタミン・ミネラルを含む「副菜」の3品が自然とそろい、栄養バランスも整います。
3品も用意できない!という方もいると思いますが、毎食必ず3品を用意する必要はありません。炭水化物とたんぱく質が両方含まれる丼やめん類は1品で「主食+主菜」、さらに野菜をプラスすれば1品で「主食+主菜+副菜」をまかなえます。品数を減らしても工夫次第で栄養を摂ることができますよ。
また調理に時間や手間がかかる食材は冷凍保存を活用しましょう。足りない栄養素を冷凍のストック食材で補うとバランスの取れた献立も簡単に準備できますね。
② 2~3日単位で考える
毎食バランスよく食べることに越したことはありませんが、現実的にはそうもいきません。赤ちゃんには食べむらもありますし、毎食栄養バランスを気にして離乳食を作るのは大変です。あまり神経質にならず、「昨日は野菜が少なかったから、今日は野菜を多めに使おう」というように、2~3日単位で考えていけば大丈夫です。
離乳食での栄養バランスは9か月以降が大切
離乳期の栄養は離乳食+授乳です。赤ちゃんが母乳やミルクを飲んでいる間は、授乳の量によって離乳食で摂りたい栄養量は変化します。母乳やミルク中心だったものが、だんだんと3つの栄養源を摂る食事へとうつっていきます。離乳食期の栄養は時期に応じて栄養の摂り方を考えていきましょう。
5~6ヶ月頃
この時期の離乳食からとる栄養は10%ほどで、授乳がメインになります。なので、離乳食の栄養バランスはまだ考えなくても大丈夫です。離乳食ではゴックンと飲み込む練習をし、食べ物に慣れることを優先しましょう。母乳やミルクは赤ちゃんが欲しがるだけたっぷりと飲ませてあげましょう。
7~8ヶ月頃
離乳食は1日2回になり、栄養は30%を離乳食でとります。まだ栄養バランスは考えなくてもいい時期ですが、1回の離乳食に炭水化物、たんぱく質、ビタミン・ミネラル源の栄養素が入るように意識して食材を選んでみましょう。いろいろな食材を取り入れて、いろいろな味や食感を体験させてあげるといいですよ。
9~11ヶ月頃
離乳食は1日3回になり、栄養の半分以上を離乳食からとるようになります。それに伴い、授乳回数は減っていきます。この時期から栄養バランスを意識して献立を考えましょう。1食の中に炭水化物、たんぱく質、ビタミン・ミネラル源の食材を取り入れます。1日3食トータルで3つの栄養素をバランスよくとれるといいですよ。
12~18ヶ月頃
栄養のほとんどは離乳食からとるようになり、栄養的には授乳は必要なくなる時期です。大人と同じように栄養バランスをさらに心掛けましょう。主食、主菜、副菜(汁物)をベースにして献立を考えます。大人用のメニューから取り分けると献立を組みやすくなりますよ。
鉄分、ビタミンDを意識してとる
2019年3月に改定された授乳と離乳の支援ガイドに「母乳育児の場合、鉄欠乏やビタミンD欠乏予防の観点から、適切な時期に離乳を開始し、鉄やビタミンDを含む食品を積極的にとらせること」と記載されました。近年では鉄不足による鉄欠乏貧血、ビタミンD不足によるくる病の増加が指摘されています。
母乳育児の場合、生後6ヶ月頃から鉄やビタミンDが不足した状態になりやすいといわれています。鉄は全身に酸素を運ぶ栄養素で、ほうれん草や赤身魚に多く含まれます。ビタミンDは骨の成長に欠かせない栄養素で、魚類や卵、きのこ類に多く含まれています。生後6ヶ月はまだ離乳食を開始したばかりで、意識して取り入れることは難しいですが、離乳食の進行に合わせて鉄分やビタミンDを含む食材を取り入れていきましょう。